里山って いいな

里山・低山の魅力を伝えていきたいと思います

北高上緑地で23日、ヤマザクラが開花しました。若葉の緑、コバノミツバツツジの紫…。里山が一気にカラフルになってきました。

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 f:id:miffy17s:20210320075357p:plain:right:w300開花したのは、南駐車場(地図参照/写真や地図をクリックすると拡大表示されます)北側の斜面に自生しているヤマザクラ。先週の19日に「何となく白っぽいかな」と開花直前の雰囲気を漂わせていましたが、20、21日は雨にたたられ、22日も少し冷え込んだためちょっと足踏みしているかのようでした。それが、23日は温かさがやや戻ったからか一気に開花し、あっという間に満開に近い感じになっています(写真㊤㊦)。
f:id:miffy17s:20210323130500j:plain:left:w400 北高上緑地内には多くのヤマザクラが自生していますが、開花時期はこのヤマザクラが毎年最も早く、今年は例年よりさらに3~4日早くなっているようです。  
f:id:miffy17s:20210323130732j:plain:right:w430 ヤマザクラは、花が先に咲き葉が後から展開するソメイヨシノと異なり、花と新葉が同時に展開する「通好みの桜」と言われています。
 さらに、若葉の色は緑ではなく、基本的に赤みがかかっているのが特徴です(写真㊤)。
 冬の間はコナラが葉を落としているので、この斜面はカシやマツなどの常緑樹の緑が目立っていましたが、ここにヤマザクラの白が加わり、急に華やかな感じになりました。これに、「女王の芽吹き」と呼ばれ、「銀色に輝く」と形容されるコナラの芽吹き時独特の銀、展葉する若葉のさわやかな緑、そして点在するコバノミツバツツジの紫などいろいろな色が混じり始め、里山がにわかににぎやかになっています。
 f:id:miffy17s:20210323124331j:plain:left:w400ヤマザクラは個体差が大きいうえ、自生している場所の日当たりなど環境にもよるのでしょうか、その他のヤマザクラの状況はさまざま。
 19日に、赤みを帯びた新葉が展葉し始めていた「大レンガ堰堤」東のヤマザクラも23日には開花しているのを確認しましたが、まだ「咲き始め」といった感じ。
 一方、南ゲートから時計回りに「大崖道」に向かう途中で北方向へ分岐する「南坂道」に自生するヤマザクラは展葉し始めたものの、花は「まだまだ」です(写真㊤)。

f:id:miffy17s:20210323130929j:plain:right:w400 ちなみに、19日に開花を確認した「竹林の小径」のエドヒガンとみられる桜は「ほぼ満開」。緑色の葉がちらほら出始めています(写真㊨)。
f:id:miffy17s:20210323145109j:plain:left:w400 参考までに、南駐車場の南側土手に植えられている数本のソメイヨシノは、それぞれ5~6輪花が開き、ようやく「開花宣言」が出せる状況になりました(写真㊧)。散歩に訪れていた近所のご婦人が「やっと咲きましたね」と嬉しそうに見入っていました。
 
 19日付のブログ・修正版【2021-03-23更新】で触れた「大レンガ堰堤」東のヤマザクラそばにある「カスミザクラ」とみられる桜については、23日も葉や花の進展は全く確認できませんでした。ヤマザクラに比べると芽吹き、開花が遅いことから、やはり「カスミザクラ」ではないかと思われます。観察を続けます。

f:id:miffy17s:20210320075357p:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210323125348j:plain:right:w400f:id:miffy17s:20210323125343j:plain:left:w400f:id:miffy17s:20210323125347j:plain:right:w400 次はコバノミツバツツジの状況です。
 まずは、毎年、真っ先に咲き乱れる「中尾根道」(地図参照/写真や地図をクリックすると拡大表示されます)の群落から。
 標本木周辺の10株ほどは「ほぼ満開」(写真㊨㊦)といった感じですが、それでも群落全体の2割ほど。あとは、まばらに咲き始めている程度で、辺り一面を埋め尽くすまでには至っていません。
 私が通りがかった時は、虫が先に訪れていて、おいしそうに蜜を吸っていました(写真㊦)。
 このまま気温が一気に上がれば、今週末から4月初めにかけて群落全体で咲き競う状況になりそうです。
f:id:miffy17s:20210323131816j:plain:right:w400f:id:miffy17s:20210323131730j:plain:left:w400 全山でぽつぽつと咲き始めていますが、「南尾根里道」の群落、「大レンガ堰堤広場」の群落はまだまだ。
 今、歩いていて面白いのは、「南尾根山道」。「ヒサカキ広場」と「北高上の涸滝」の間の散策路脇には程よい間隔で自生しています。
 10日に紹介した開花第1号(写真㊤、中央下の奥)もその一つです。既に満開となっている株もあれば、蕾が膨らみ始めている株も。ほころんでいる蕾は開花した花より紫色が濃いため、グラデーションが楽しめます(写真㊤)。
 「南尾根山道」のこの区間、日進里山リーダー会のあるメンバーが、こう名付けました。
 「ツツジ街道」。

               ◇
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に続き今年も日進市主催の「コバノミツバツツジまつり」は中止となりましたが、27日(土)から4月4日(日)まで日進里山リーダー会による「コバノミツバツツジ観賞会」が行われます。
 期間中、会員が南駐車場の一画にある「みんなの小屋」に詰め、来場者に開花状況やお薦め観賞スポットなどの情報提供をします。
 例年と違って「森の音楽会」などのイベントも中止となりましたが、咲き誇るコバノミツバツツジの魅力を心ゆくまでお楽しみください。

               ◇

 23日のその他の樹々たちの様子も写真でお伝えします。画像をクリックすると拡大表示されます。
 左上から時計回りに①リョウブ②マルバアオダモ…今年は花が期待できるかもしれません③コナラの芽吹き④モンゴリナラ(フモトミズナラ)の展葉⑤ヤマモモ(南駐車場)⑥ミヤマガマズミの蕾⑦コウヤボウキ⑧コナラ

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「夜船」に「北窓」…。何のことか、お分かりですか? 今日は、春のお彼岸の中日。「おはぎ」を頬張りながら、このクイズに挑戦してみましょう。

 「春分の日」の20日は、春のお彼岸の中日です。
 このところ、日進市の北高上緑地で「コバノミツバツツジが咲いた」「桜が開花した」などと騒いでいる私ですが、実は「花より団子」派です。
 ですから、お彼岸に限らず、年がら年中、我が家には「おはぎ」などのスイーツが用意されています。たまたま切れてしまうとまずいので、冷凍庫にまで収まっています。
f:id:miffy17s:20210320111442j:plain:left:w250 そういえば先日、何気なく見ていたスーパーのチラシに「おはぎ」と「ぼた餅」の写真が並んで掲載されていました(写真㊧)。多くのスーパーのチラシや店頭では「おはぎ」という表記が圧倒的に多いようです。

 「おはぎ」?
 「ぼた餅」?
 この2つ、何が違うのでしょうか。
 というわけで、ちょっと調べてみました。
 
 f:id:miffy17s:20210320173656j:plain:right:w280漢字で書くと一目瞭然。
 「お萩」と「牡丹餅」。
 萩(はぎ)の季節に食べるのが「おはぎ」、牡丹(ぼたん)の季節に食べるのが「ぼた餅」。つまり、秋のお彼岸に食べるのが「おはぎ」、春のお彼岸に食べるのが「ぼた餅」というわけです。
f:id:miffy17s:20210320133358j:plain:left:w280「おはぎ」は、言うまでもなく、餡(あん)を使った餅菓子の一種。菓子の表面に小豆の皮が浮かぶ様子が、秋の七草のひとつである萩の花(写真㊧)に似ていることから「御萩(おはぎ)餅」と呼ばれるようになり、それが「おはぎ」に変わったとされています。
f:id:miffy17s:20210321075305j:plain:right:h250 ハギの仲間には多くの種類がありますが、最も一般的なのがヤマハギ(山萩、写真㊨)。単にハギという場合はヤマハギを示すことが多いと言われています。
f:id:miffy17s:20210320075725p:plain:left:w250 「そういえば、見たことがないなー」という方は、ぜひ日進市の北高上緑地においでください。緑地の北西エリアにある「アオダモ広場」(地図参照。クリックすると拡大表示されます)の一画に自生しています。今は花の時期ではありませんが、樹名板が立っているのですぐに分かります。
 f:id:miffy17s:20210320140632j:plain:right:w280 一方の「ぼた餅」は、小豆を春に咲く牡丹の花(写真㊨)に見立てたことから「牡丹餅」と呼ばれていたのが「ぼた餅」に変わったと言われています。 

 作る季節に違いがあり、その季節の花の名前に由来していたというわけです。
 なーんだ、そうだったんですね。納得です。
 これで終わり、と思ったら、続きがまだまだあります。「おはぎ」「ぼた餅」の世界、奥がなかなか深そうです。

 f:id:miffy17s:20210320153751j:plain:left:w300f:id:miffy17s:20210320153807j:plain:right:w280「おはぎ」は粒餡、「ぼた餅」は漉(こ)し餡…なのだそうです。
 えっ、どういうこと?
 またまた、調べてみました。
 秋に収穫したばかりの小豆は皮が柔らかいので、皮もそのままつぶして食べることができます。このため、秋に食べる「おはぎ」には粒餡が使われました。
 一方、一冬越し、「ぼた餅」を作る春ごろになると、小豆の皮が固くなってしまっているので、皮を取り除いた漉し餡が使われていたそうです。
 今では、小豆の品種改良や保存技術が進んだので、いつでも粒餡で作ることができるようになっています。

 へえー、そうなんだ。納得です。
 続きが、まだあります。

f:id:miffy17s:20210320173935j:plain:left:w280 昔は、「おはぎ」は、萩の花のように細長い俵のような形で作られ、「ぼた餅」は、牡丹の花のように大きな丸い形で作られていたそうです。 
 主にうるち米を使うのを「おはぎ」、主にもち米を使うのを「ぼた餅」と呼ぶ地域もあるとか。
 また、餡でくるんだものを「ぼた餅」、黄な粉をまぶしたもの(写真㊤)を「おはぎ」と呼ぶ地域もあるようです。

 いろいろな説や違いが出てきましたね。地域によっても差がいろいろあるようで、季節や形などの違いに関係なく「おはぎ」「ぼた餅」のいずれかで呼んでいる場合もあるようです。

 実は、続きがまだあります。
 ブログタイトルを思い出してください。
 そうです、「『夜船』に『北窓』…。何のことか、お分かりですか?」でしたね。
 ということで、いよいよ本日の「本題」です。
 ちょっと難しいですよ。

 春は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」と呼ばれていることは分かりましたよね。では、夏と冬は?

 「そんなのあるのか?」と思われそうですが、実はあるのです。
 答を言ってしまうと、夏は「夜船(よふね)」、冬は「北窓(きたまど)」です。
 どういうことなのか見当すらつかないですよね。
 これも諸説あり、それぞれ微妙に違うようですが、一例をあげてみましょう。

 ご飯をつぶして作る「おはぎ」や「ぼた餅」は、お餅と違って臼(うす)で搗(つ)くことはしません。ぺったんぺったんという音がしないので、どこのお宅が、いつ作っているのか、隣近所の人でも分かりません(搗き知らず)。 
 一方、昼はともかく、夜は暗くて船がいつ岸に"着いた"か分かりませんよね(着き知らず)。
 このことになぞらえ、夏の「おはぎ」や「ぼた餅」は「夜船」と呼ばれるようになったそうです。
 「搗(つ)き知らず→着(つ)き知らず」というわけです。

 同様に冬は…
 「搗(つ)き知らず→月(つき)知らず」。
 北にある窓からは"月"が見えない(月知らず)ことから、冬の「おはぎや」「ぼた餅」は「北窓」と呼ばれるようになったのだそうです。

 言葉遊びなのでしょうが、これを思いついた人のセンスの良さに驚きです。私は残念ながらこうした才能を持ち合わせていないので、ただただ敬服します。

 f:id:miffy17s:20210320174026j:plain:right:w280今回も私にとって「へぇー、そうなんだ」という話ばかりでした。
 世の中、知らないことだらけ。
 知っているのと、知らないのとでは大違いです。
 今回の、この話。春のお彼岸中日の今日、「ぼた餅」をほおばりながら家族の皆さんに披露すると大いに受けること請け合いです。子どもたちが、こう言って目を丸くしますよ。
 「お父さんって、すごい。博識だね。見直した!!」
   
 北高上緑地の「アオダモ広場」近くに自生している「ヤマハギ」の前で、この話を披露するのもいいですよ。ぜひ、親子で北高上緑地に遊びに来てくださいね。

【参考Webサイト】
・ぼた餅とおはぎの違いってご存じですか? そしてこんな雑学が
 /Kanro/Sweeten the Future
・ぼたもち/フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」
・「おはぎ」「ぼたもち」の違いは季節にあり!こしあん粒あん
 どう違う?/ロコガイド/トクバイニュース

北高上緑地で19日、エドヒガンとみられる桜が開花しました。ヤマザクラの赤みがかった若葉も開き始めています。里山もいよいよ桜の季節到来―。

f:id:miffy17s:20210319165549j:plain:right:w350 桜便りが各地から相次いで届いています。先週に続いて今週末も春の嵐に見舞われるという予報を耳にして《天気が崩れる前に》と思い、19日午後、桜に関してはそれほど期待もせずに日進市の北高上緑地へ車を走らせました。
f:id:miffy17s:20210320075725p:plain:left:w350 緑地に着き、南入り口駐車場(地図参照。クリックすると拡大表示されます)南側の土手に植えられているソメイヨシノ(染井吉野、写真㊤)をチェックしましたが、前日に比べ、《ややほころび始めたかな》という程度の変化しか見られませんでした。まあ、想定内のことです。北寄りの風をまともに受けるせいか、このソメイヨシノの開花は毎年、遅めのようです。

 次は、少し期待を込めて、南入り口ゲート付近から北の斜面を見上げてみました。「期待を込めて」というのは、ここに自生しているヤマザクラ(山桜)は毎年、北高上緑地内の多くのヤマザクラの中で一番早く開花するからです。
 その樹冠が何となく白っぽく見えます。《もしかして、開花!?》と心が躍り始めましたが、双眼鏡を忘れてきてしまったので確認できません。しかたがないので望遠レンズを取り出し、ファインダーを覗いてみました。画像がシャープでないのではっきりしたことは分かりませんが、白いものは見当たりません。何となく赤っぽい蕾が膨らみかけている様子は分かりますが、葉もまだ出ていないようです。残念ながら、まだ少し早いようです。

 ちょっと気持ちが萎えましたが、開花したばかりのコバノミツバツツジに慰めてもらおうと、緑地に入りました。

 f:id:miffy17s:20210319171735j:plain:right:h600巡回も後半に入り、「竹林の小径」を歩いていた時のことでした。全く予想もしていなかった光景に出会いました。目の前、地上2㍍ほどの枝に、なんと桜の花が何輪も咲き誇っていたのです(写真㊨)。
 この桜、樹木の分類上の所属や種名を決定する「同定」がまだなされていませんが、以前から「エドヒガン(江戸彼岸)」ではないかと言われてきました。
 エドヒガンなら、ソメイヨシノよりも早く咲くので「想定内」ではあるのですが、コバノミツバツツジに気を取られていたのか、期待もせずに歩いていたので少なからず驚いてしまいました。
f:id:miffy17s:20210319210714j:plain:left:h400 f:id:miffy17s:20210319172349j:plain:right:w400遠くからではほとんど気づかないのですが、ふと上空を見上げて、もう一度びっくり。はるか上の方に、無数の花が確認できました(写真㊧㊦)。
 葉よりも花が先に咲き、蕚筒(がくとう、花びらの付け根の膨らみ)の元が膨れているような感じがすることなどから、素人ながら私も「エドヒガン」ではないかと思いました。蕚筒の膨らみがちょっと少ないような気もしますが…。
 エドヒガンは山地に自生する天然の桜の一種。関東地方でよく見られ、春の彼岸のころに咲くことからこの名がつけられたそうです。
 桜の中では寿命が最も長く、「根尾谷の淡墨桜」など、樹齢1000年を超えると伝わる古木、名木は天然記念物に指定されています。
 まだ断定はされていないようなので、葉が出た後なども含め、いろいろな判断材料をそろえて同定をしたいと思っています。今日のところは難しいことはさておき、とりあえず樹の根元で「春」を独り占めしながら喜びに浸りました。

 f:id:miffy17s:20210319175630j:plain:left:w400しばらく歩いて「大レンガ堰堤」東のコバノミツバツツジ群生地に差し掛かった時のことです。これまた、目の前の地上2㍍ほどの枝から、赤みがかった若葉が展葉しかけているのが目に飛び込んできました(写真㊤)。若葉の特徴からヤマザクラだと思われますが、若葉と同時に開花するはずの花はまだ見当たりません。開花も時間の問題だと思います。

 ところで、このヤマザクラのすぐそばに、2本の桜の樹があります。「カスミザクラ(霞桜)ではないか」とみられています。
 以前は「ヤマザクラ」と思われていましたが、一部から疑義が出たそうです。
 カスミザクラは、ヤマザクラより白みが強い花が満開になると霞がかかったように見えることなら名付けられたそうです。
 いずれも花がまだ咲いていないため、今は花の比較はできません。
 いろいろ調べていて、気になったのは1枚の写真。カスミザクラの説明の中に、今日見たヤマザクラとそっくりな色の若葉の写真が紹介されていたのです。緑ではなく、かなり赤みがかっており、ちょっと衝撃を覚えました。
 その写真には、こう説明書きがありました。
 「若い葉は赤みを帯びるがヤマザクラよりは淡い」
 撮影時の光線の加減もあるので何とも言えませんが、よく似た色です。
 このカスミザクラと思われる桜は、まだ芽吹き前なので、今は葉の比較ができません。
 両者の違いは、
  ①ヤマザクラと異なり、カスミザクラの芽燐の先は開かない
  ②ヤマザクラは早咲き、カスミザクラは遅咲き
  ③カスミザクラは花柄と葉柄と葉の裏の葉脈に毛が生えている(葉
   の表は無毛)。このため、別名「ケヤマザクラ(毛山桜)」とも呼
   ばれる。ヤマザクラは、花柄、葉柄、葉の両面とも無毛
  ④カスミザクラの葉の裏面は淡緑色で光沢がある
などいろいろありますが、時期を追って丹念に調べないと判断できず、同定は大変難しそうです。
 一部には、こんな説明もあります。

一番の特徴は幹。樹皮は暗褐色で、横に何本も線が入って縞模様のようになるので、他のさくらと見分けがつきやすい

 ですが、里山初心者の私には、そんなに簡単に見分けがつきません。
 今後、開花時期、花柄や葉柄、葉の様子について比較観察をしていきたいと思います。

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 そのほか、あちこちの尾根脇や谷筋、広場の一角などに、群落ではなくても2株、3株と自生していて、既に5分から7分咲きとなっているコバノミツバツツジも見受けられます。
 週末の春の嵐後の天気次第ですが、中止となった「コバノミツバツツジまつり」に代わる「コバノミツバツツジ見ごろ案内」が始まる27日ごろには、北高上緑地全域で見ごろを迎えるものと予想されています。

 開花、展葉など成長が進むその他の草木の様子をお届けします。クリックすると拡大表示されます。
 左上から①アズキナシ②サルトリイバラ③ミツバアケビエゴノキムラサキシキブ⑥フモトスミレ

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北高上緑地でコバノミツバツツジの標本木も開花しました。春の陽を浴びて、その他の草木もぐんぐん成長しています。

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 日進市は17日、北西風がやや強く吹いたものの青空が広がり、4月並みの気温まで上がりました。同市の北高上緑地で開花が確認されたのは、コバノミツバツツジの標本木(写真㊤㊥㊦)。中尾根道群落の中で10株ほど固まっている一群で、歩調を合わせて一斉に開花しました。今年は、南尾根山道脇の谷筋に自生している1株に先を越されたものの、群落ならではの華やかな雰囲気を漂わせ始めています。

 f:id:miffy17s:20210317174400j:plain:right:w400f:id:miffy17s:20210317174405j:plain:left:w350中尾根道群落の中でも10株ほど固まっているこの一群は、毎年、最も早く咲くことから標本木とされ、緑地の整備・保全に取り組んでいる日進里山リーダー会のメンバーが、この時期になると毎日のように訪れ、花の様子を確かめています。
 この日は定期的な見回りの日で、9人のメンバーが巡回の途中に立ち寄り、どの株も5輪以上咲いているのを確認、標本木の「開花」を宣言しました。例年に比べると3日ほど早いのですが、昨年に比べると10日ほど遅くなっているようです。

 f:id:miffy17s:20210317174435j:plain:right:w350f:id:miffy17s:20210317174442j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210311064138p:plain:right:w350このほかのエリアで開花が確認されたのは、南端エリア・大崖道砂防広場の1株(写真㊨)と、北西エリア・コシダの小径に自生している1株(写真㊦)。いずれも群落ではないので、「辺り一面を埋め尽くす」といった雰囲気ではありませんが、春の訪れを告げる風物詩として、十分な存在感があります(地図参照。クリックすると拡大表示されます)。
 中尾根道以外の群落は、まだまだ。特に、南尾根里道の群落は、いつも通り、全体的に「のんびり」しています。それだけ、ずっと後まで花を楽しむことができるのですが…。

f:id:miffy17s:20210317174721j:plain:left:w400 この日は名古屋でソメイヨシノの開花が宣言されました。平年より9日早く、昨年よりは5日早くなっています。統計開始以降、最も早いのだそうです
 日進市内でも既に開花している所もあるようですが、北高上緑地南入り口駐車場南側の土手に植えられているソメイヨシノは、固い蕾が少し緩んだ程度(写真㊤)。開花までは、もうしばらくかかりそうです。
 今後も気温が高い日が続く見込みです。コバノミツバツツジソメイヨシノも、そして少し遅れて北高上緑地内のヤマザクラも一斉に開花。里山が一気に春一色となります。

 展葉など成長が進むその他の草木の様子もお届けします。クリックすると拡大表示されます。
 左上から時計回りに①マルバアオダモ…その1②マルバアオダモ…その2③ネジキ④コウヤボウキ⑤フモトスミレ⑥ツクシ⑦ムラサキシキブ⑧クロバイ⑨サワフタギ⑩コナラ

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北高上緑地のコバノミツバツツジが14日、開花しました。樹々の展葉もどんどん進んでいます。いよいよ本格的な春到来ですね!!

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 「北高上緑地のコバノミツバツツジが開花したよ」
 携帯電話の向こうから、弾んだ声が響いてきました。
 心なしか、やや興奮している感じです。というこちらも同様です。

 日進里山リーダー会の先輩から電話がかかってきたのは、14日昼過ぎのことです。
 実は、その時、北高上緑地へ出かけるのをためらっていたところでした。というのは、この日、東京でも桜が開花したというニュースが飛び込んできたので、《そろそろかな》とは思っていたのです。毎年、ソメイヨシノとコバノミツバツツジの開花は、ほぼ同時期だからです。しかし、この日は天気は良いものの北寄りの風が結構強かったため《今日は、お預けか》などと勝手に判断していました。
 そんな時にかかってきた1本の電話。昼食は後回しにして、すぐに「顕微鏡撮影」ができるコンパクトカメラと望遠レンズを装着した一眼レフをバッグに押し込み、車に乗り込みました。

 桜の「開花」とは「標本木のつぼみのうち、5~6輪の花が咲いた状態」を言うのだそうです。場所、樹種が異なっても、だいたいこの基準に準拠していると思います。ですから、電話がかかってきた時、こう問い返してしまいました。
 「やはり、中尾根道の標本木ですか?」
 ところが…
 「それが、違うんだよ」
 という返事でした。

 北高上緑地に到着。開花したというコバノミツバツツジが自生している場所を聞いておいたので、まっすぐに向かおうと思いましたが、《どうせ、緑地全域をくまなく確認しなければならないのだから》と、通常の巡回ルート通りに歩き始めました。
 週末の12日から13日にかけてかなりの雨が降り、14日は気温がかなり上がったせいでしょうか、前回、北高上緑地を訪れた10日から4日しかたっていないのに、雑木林の装いはかなり変わっていました。

 f:id:miffy17s:20210314165633j:plain:left:w4004日前に開花を確認したマキノスミレは、花を開いた株の数が一気に増え、10株ほどを確認しました。
 「うわー、こんなに咲いているわ」。散策に訪れた女性が、うれしそうな声を上げました。
 地上高3~4㌢と小さいので、注意して足元を見つめていないと見逃してしまいます。

f:id:miffy17s:20210314165303j:plain:right:w450 急ぎ足で歩こうと思うのですが、モンゴリナラ(フモトミズナラ)の展葉が確認できたり、あちこちの樹々のつぼみが膨らんでいたりしていたため、立ち止まっては写真撮影し、歩いてはまた立ち止まって写真を撮る…の繰り返しで、思った以上に時間がかかります。

 f:id:miffy17s:20210314165614j:plain:left:w400ヒサカキの花の開花は4日前に確認したばかりですが、北高上緑地の至る所で満開となっているのが目立ちます。とても小さな花なので、目を凝らして見てくださいね。

f:id:miffy17s:20210314161305j:plain 
 10日に南入り口駐車場からコナラの芽吹きを確認しましたが、この日は間近の大崖道・見晴らしポイントから望遠レンズを向けました。樹冠の芽吹きを、さらに近くから見ることができるとうれしいのですが…。
 f:id:miffy17s:20210314165434j:plain:left:w400フモトスミレも元気に育っていました。4日前はとても小さかったのに、春の陽をたっぷり浴びて、ぐんぐん成長しています。
 所々にコバノミツバツツジがぽつりぽつりと自生しており、目を凝らして探すのですが、花が開いているのは何株かのうちのたった1株に、しかもわずか「1輪」といった具合です。

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 ようやく目印として教えられた南尾根山道の「ネズ」のそばにたどり着いた時、思わず目を奪われました。
 北側の斜面を数㍍下った陽だまりに、コバノミツバツツジがぽつんと1株自生しており、枝いっぱいに花を咲かせていたのです。
 青い空をバックに、薄紫色の花が映えます。素晴らしいコントラストです。
 「長い間待ち続け、ようやく会うことができた」といったところです。
 
 実は、ここは、北高上緑地内に3カ所あるコバノミツバツツジ群落では全くなく、この株も毎年最初に開花する標本木ではありませんでした。全くノーマークだっただけに、少し驚きました。
 本来の意味での「開花宣言」とは違うかもしれませんが、先輩会員の判断通り「開花」を宣言することにしました。
 昨年は中尾根道の群落に自生する標本木が10日ごろに開花しているので、それに比べると4日ほど遅いようですが、例年に比べれば一週間ほど早くなっています。

f:id:miffy17s:20210311064138p:plain:right:w400 場所は、南尾根山道の「ヒサカキ広場」と「丘の上広場の」中間あたり。道の上をふさぐように「ネズ」が生えている所から数㍍北です(地図参照。クリックすると拡大表示されます)。ネズは樹名板がついているので、すぐに分かると思います。尾根道から数㍍下った谷筋の斜面で足場が悪く、付近にはかぶれを起こす樹も生えているので、近づくときには注意が必要です。

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f:id:miffy17s:20210314201010j:plain:left:w350 例年、最も早く開花する株がある中尾根道の群落も訪ねてみました。標本木周辺には10株ほど固まっています。どの株もつぼみがどんどん膨らんでいて、遠くから見ても薄紫色が目立つようになっています。でも、花が開いているのを確認できたのは10株のうちの1株だけ。しかも、たった1輪だけでした。それでも「開花宣言」が出せるのは間近。「秒読み」に入っています。

 南尾根里道と大レンガ堰堤広場のコバノミツバツツジ群落は、中尾根道の群落に比べるとやや遅れており、薄紫色が目に付くといった感じは全くありません。いずれも、広い群落の中で花が開いているのは、わずかに1株。しかも、たった1輪です。
 

f:id:miffy17s:20210314201206j:plain:right:w400 ところで、南入り口駐車場南側の土手に植えられているソメイヨシノのつぼみは、ご覧の通り。かなり膨らんできたのは確認できましたが、開花までにはもう少し時間がかかりそうです。

 その他の樹々の展葉の様子をお届けします。生命の息吹をたっぷりと感じ取ることができます。まさに、うれしい春到来です。
 左上から時計回りに①モンゴリナラ(フモトミズナラ)②ミヤマガマズミ③ウスノキ(カクミノスノキ)④モチツツジ⑤ネジキ⑥ゴンズイ
 ※写真をクリックすると拡大表示されます。アップでお楽しみください。

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「樹名板」考・その参。決定打は、QRコードを活用した「スマホ音声ガイド」か?! 研究は、まだまだ続きます……。

 「あっ」
 これを目にした時、思わず声を出してしまいました。
 これこそ、私が昨年から密かに考えていたことだったからです。

 f:id:miffy17s:20210308173608j:plain:right:w330場所は、「ほとぎの里緑地」(長久手市)南部の「ほとぎの里」。その入り口にある「ほとぎの里交流館」のフェンスにかけられている一枚の樹名板を見た時のことです。
書かれているのは植物名の「ムベ」とQRコードだけ。取り付けたのは、この緑地の保全管理活動に取り組んでいる「長久手みなみ里山クラブ」さんです。
 QRコードは、以前から《何とか北高上緑地で活用できないかな》と考えていたので、《既に導入済みか!》と「先を越された感」を覚えました。
 現在ではカメラ付き携帯電話端末の多くがQRコード対応になっており、内蔵カメラでコードを撮影し、QRコードの情報内容を認識させることができます。
 f:id:miffy17s:20210308173604j:plain:left:w320試しに、このQRコードスマホで読み取ってみました。ディスプレイに瞬時に表示されたのは、 フリー百科事典「Wikipedia」の中の「ムベ」を紹介したページでした。
 このQRコードがなければ、検索して画面に表示させるには手間暇がかかりますが、そうした煩わしさもなく、ムベの概要や特徴、実の写真など、かなりたくさんの詳しい情報を手に入れることができます。
 しかも、「知りたいと思ったその時に、その場で、瞬時に」というところが"みそ"ではないでしょうか。 

 ところで、前回の「『樹名板』考・その弐」で、「スペースは限られています。誰のために、どんな情報を盛り込めばいいのでしょうか。悩みは尽きません」と書きました。こうした悩みを持っていたのは、日進里山リーダー会の先輩も同様のようで、いろいろな工夫をされています。いくつか紹介します。
f:id:miffy17s:20210307231441j:plain:left:w320f:id:miffy17s:20210307231452j:plain:right:w320 まずは写真入り。色や形の形容が難しいのが花です。そこで、思い切って活字を減らし、大きめの写真を付けました。フモトスミレやマキノスミレです。情報伝達能力として、活字は写真にかないません。特に、花が咲いていない時期には、有力です。
 f:id:miffy17s:20210223163136j:plain:right:h350ただし、活字と写真の両立が難しいケースもあります。例えば、トウカイコモウセンゴケ。写真を2枚使っているので、12㌢四方のスペースには収まり切れません。このため、活字の説明の下に写真を2枚加え、全体で通常の1.5倍のサイズにしてあります。

 f:id:miffy17s:20210307235022j:plain:left:h38012㌢四方の用紙を2枚使ったケースもあります。その一つが秋の七草のひとつ、ヤマハギです。
 用紙の1枚目は、ヤマハギそのものの説明。そして2枚目は「秋の七草とは?」「春の七草とは?」というクイズ(出題は1枚目)の回答が書かれています。
 以前は、クイズの回答は1枚目の裏側に張ってありましたが、見ずらいことから2階建てに変更しました。
 クイズを出題したり、ちょっと変わった名前の由来や雑学的な面白い話を書き添えると、雑木林の散策が楽しくなるのは確かですが、樹名板が大きくなってしまう欠点があります。大きな森の中ですから、それほど違和感はありませんが、それでも2階建ての樹名板が乱立していると、やや抵抗感があります。

 f:id:miffy17s:20210307210149j:plain:right:w280f:id:miffy17s:20210307210220j:plain:left:w280この問題を解消する一つの手が、「樹名板」以外のツールを使うという発想です。
 北高上緑地で行われる里山体験イベント「樹木観察ツアー」や「里山保全実践講座」では、花や実の写真を付けた簡単な説明資料を参加者、受講者にお渡ししています。これらを一般の来園者にも提供するほか、もう少しまとまった冊子や本を作ってもいいかと思います。
 f:id:miffy17s:20210223163014j:plain:right:h300例えば、グリーンガイド「四季の香具山」。1990(平成2)年に当時の住宅・都市整備公団中部支社が 発行した植物図鑑で、91㌻にも及ぶ立派な冊子です。
 f:id:miffy17s:20210223162834j:plain:left:w280かなりの数の樹木について紹介されており、なかなか読みごたえがありますが、個々の説明はかなりシンプルです。情報量を増やせばページ数もぐんと増えてしまうでしょうし、それだけのものを作るとなると手間暇がかなりかかりそうですし、コストの問題もクリアしなければなりません。

 f:id:miffy17s:20210313203442j:plain:right:w200狭いスペースの中に、重要な情報をいかに多く盛り込むかで悩んでいた時、私がふと思いついたのが「音声ガイド」でした。
 美術館や博物館を訪れた際、貸し出し用の機器にイヤホンやヘッドホンをつないで耳に当てると、展示物に関する情報などが流れる"あれ"です。
 《雑木林と美術館は違うぞ》という声も出そうです。私も、そんな気がしますし、《そもそも時代遅れでは?!》という感じもしましたが、自己規制せずに、とりあえず少し調べてみました。 
f:id:miffy17s:20210310003032j:plain:left:w300 音声ガイドの最大のメリットは、展示物を聴覚からも理解することができる点。展示会の目玉となるような貴重な展示物があり、それがいくら歴史的な背景や価値があるものだとしても、解説が無ければちらっと観ただけで素通りしてしまうかもしれません。 
 仮に解説があっても、会場が混雑している場合は、パネルの文字が読めないかもしれません。
 また、小さい解説文だけでは説明できることに限界があるでしょう。
 博物館や美術館などが音声ガイドを導入しているのは、解説文よりもより多くの情報を来場者に提供することができるからにほかありません。解説文だけでは伝えきれない展示物の背景や魅力を伝えることは、来場者の満足度向上やリピート来場にもつながると言えるでしょう。
 f:id:miffy17s:20210310001451j:plain:right:w320北高上緑地で行われている「樹木観察ツアー」は春と秋の2回。「もっと多く開催を」というニーズがあっても受け入れ態勢の整備もありますし、コロナ禍のような状態では開催できない事態にもなります。
 そんな場合でも音声ガイドが用意されていれば、課題は一挙に解決されます。いつでも、誰にでも、来場者全員に均一なレベルの解説を提供することが可能になります。
 これにより、「もっと詳しく知りたい」や「会場を訪れてよかった」などと感じる来場者は増え、満足度向上やリピート来場にもつながりそうです。

 「雑木林と美術館は違う」どころか、同じような課題を持っているような気がします。それに《音声ガイドなんて、そもそも時代遅れでは?!》といった先入観も"外れ"だと分かってきました。
 f:id:miffy17s:20210309234851j:plain:left:w320今、注目されているのは、施設来場者のスマホで解説を聞くことができる「スマホ音声ガイド」。①導入コストが安い②サーバーの管理や維持費などの、ランニングコストが安い③音声や画像、テキストなどの内容修正や削除・追加が簡単にできる―ほか、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染の心配もなく衛生面で安心できるといったメリットが期待できます。
 「ブラウザタイプ」なら、Webサイトを見るのと同じようにブラウザを開くだけで音声ガイドページを見ることができる、というもので、QRコードを読み取るだけでダイレクトにそのページにアクセスができ、誰でもすぐに音声ガイドを聴くことができるのが特徴です。

 《えっ》と、思わず声を出してしまいました。
 スマホQRコード→即、アクセス→音声ガイド
 なんと、これは、冒頭で紹介した「QRコード付き樹名板」が進化した「音声ガイド」版ではありませんか 。テキストでなく音声なら、スマホ画面に目を落とすことなく、樹木を目で観察しながら耳から特徴だけでなく、名前の面白い由来、思わず「へぇー」とうなってしまいそうな雑学まで楽しむことができそうです。
 自前でつくるとなると、いろいろ大変かもしれませんし、クリアできない課題がでてくるかもしれませんが、素人でも動画をQRコードに埋め込むのが簡単な時代。何とかなるでしょう。自前で用意すれば、なんといっても「イニシャルコストゼロ」。「ランニングコスト」も「ゼロ」。
 「森の中のあちこちにQRコードがあふれているのはいかがなものか」という声も出そうですが、ネット時代の便利なツールとして活用法を検討する価値はありそうです。
 
 f:id:miffy17s:20210314111321j:plain:right:w400でも、スマホをお持ちでない方、「やっぱり紙の方がいい」という方もいらっしゃると思います。となると、「QRコード付き樹名板」(テキスト、動画、音声)とリーフレットや小冊子の2本立て、ということになるのでしょうか。
 デジタルかアナログか、その両方か…?!

 「里山のぽんぽこりん」の研究は、まだまだ続きます。   
                          (終わり)
 
※今回のシリーズは、とりあえず3回で終了です。参考までに「『樹名板』考」の「その壱」「その弐」へのリンクを貼っておきました。
miffy17s.hatenablog.com
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日進市の2020(令和2)年度災害ボランティアセンター開設・運営訓練が13日、中央福祉センターで行われました。

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f:id:miffy17s:20210313134011j:plain:left:w250f:id:miffy17s:20210313134034j:plain:left:w450 新型コロナウイルスの影響で、昨年度の災害ボランティアセンター開設・運営訓練、本年度の災害ボランティアコーディネーター養成講座が中止となったため、本番に近い形での訓練が行われるのは昨年2月に開かれた同養成講座の時以来、1年1か月ぶり。主催した同市社会福祉協議会のほか日進災害ボランティアコーディネーターの会、市内各地の自主防災会関係者ら約40人が参加しました(写真はクリックすると拡大表示されます)。【注】

f:id:miffy17s:20210313134305j:plain:right:w250f:id:miffy17s:20210313134328j:plain:right:w450 訓練の目的は2つ。第1は、「災害ボランティアセンター」そのものを知ってもらうこと。その上で、「災害ボランティアセンター」と「各地域」が連携することの必要性を感じてもらうことです。
 そして、今回の訓練の主眼は①コロナ禍との向かい合い方②屋外での初めての訓練実施―の2点です。
 災害時には、センターのスタッフとなる社協職員や災害ボランティアコーディネーターの会メンバー、各地から駆け付けるボランティアらでかなり多くの人が交錯することになるため、いかに「密」にならないようにするかといった工夫が求められます。

f:id:miffy17s:20210313134545j:plain:left:w250f:id:miffy17s:20210313134558j:plain:left:w450 さらに、訓練はこれまでは室内でしか行ったことがありませんでしたが、地震などにより中央福祉センターが損壊して屋内に災害ボランティアセンターを開設することができなくなった場合などを想定して、屋外での訓練実施が求められていました。
 このため、当初は中央福祉センター北側駐車場を利用したプランが計画されていましたが、あいにくの悪天候のため、急遽、連年通り室内での訓練に変更されました。
f:id:miffy17s:20210313134715j:plain:right:w250f:id:miffy17s:20210313134741j:plain:right:w450 会場が室内に変更されたことに伴い、新型コロナウイルス感染防止対策の観点から、訓練の内容も縮小。各係担当者からの指示や説明を聞いて駆け付けボランティア役が本番並みに実際に行動するのではなく、各係担当者がそれぞれの部署で行う業務や、ボランティアに対しどのような指示や説明をするかなどの概要を説明する形式に変更されました。
f:id:miffy17s:20210314062749j:plain:left:w250f:id:miffy17s:20210313134912j:plain:left:w450午前9時30分から始まり、訓練の目的や被害想定の説明があった後、早速、訓練開始。
 日進災害ボランティアコーディネーターの会のメンバーが①案内②事前オリエンテーション③受け付け④活動紹介⑤活動オリエンテーション⑥資機材貸し出し⑦活動フォローの各ブースに分かれて待機。駆け付けボランティア役となった社協職員、自主防関係者が会場を順に回って、各ブースの担当者から業務概要の説明を受けました。
 新型コロナウイルス感染防止のため、説明役のコーディネーターの会メンバーは、マスクだけでなくフェイスシールドも着用。駆け付けボランティア役の皆さんは、「密」になることを避けるため5~6人単位の4グループに分かれ、時間差を設けて会場を回っていただきました。

 f:id:miffy17s:20210313135113j:plain:right:w250f:id:miffy17s:20210313135124j:plain:right:w450災害ボランティアコーディネーターとして私が心がけたのは、いかにスムーズにボランティアを活動現場に送り出すかという点。詳しく説明しすぎると時間がどんどん経ってしまい、ボランティアのやる気を削いでしまうので、どのくらいの時間を割き、どの程度まで説明するのがよいかなどを他のメンバーらと話し合ったり、資料の掲示方法、マニュアルの改善点などの課題を拾い出しながら作業を進めました。
f:id:miffy17s:20210313133240j:plain
 このようにして、「駆け付けたボランティア」と「被災した住民の困りごと(ニーズ)」がどのようにして結ばれ、復興支援ボランティア活動につながるかを学びました。
 そして、その後のミーテイングで社協の担当者から説明があったのは、それぞれの「弱点」。
 一例として、次のような点が挙げられました。
 ①災害ボランティアセンターの弱点…困りごと(ニーズ)が上がってこないと運営ができない。
 ②駆け付けボランティアの弱点…日進市(被災地域)の細かい地理が分からない。とにかく何かしたい!!
 ③助けてもらいたい住民の弱点…ボランティアが来てもらえる仕組みを知らない。
f:id:miffy17s:20210314063029j:plain:left:w250f:id:miffy17s:20210313135242j:plain:left:w450 「こうした問題を解決し、効率良い活動を実現させため、区・自治会・自主防災会など地域の皆さんとぜひ連携をしていきたい」と強調していました。
 この日浮かび上がった課題などは、日進災害ボランティアコーディネーターの会の定例会などで議論を深め、今後の活動に生かしていきたいと思います。また、駆け付けボランティア役を担ってくださった方々から寄せられた声、アンケートの内容も大いに参考にさせていただきます。
 f:id:miffy17s:20210313160529j:plain:right:w400マニュアルを読んでばかりいても仕方がありません。訓練を重ねて場数を踏み、いざという時のために十分備えておきたいと思っています。

 
【注】
 ①災害ボランティアセンター 被災地に全国から駆け付けるボランティアを被災者のもとへスムーズに派遣し、すみやかな復旧・復興を支援するために日進市社会福祉協議会が設置します。同センターは次のことを行います。
  1. 全国から駆け付ける「ボランティア」の受け付け
  2. 被災した市民からの「ニーズ(困りごと)」の受け付け
  3. 「ボランティア」と「ニーズ」をマッチングし、被災者のもとへボランティアを派遣する
 ②災害ボランティアコーディネーター 災害ボランティアセンターに駆け付けた「ボランティア」と「ニーズ」をつなぐ人。ボランティアに安全に活動してもらうため、また被災された方に安心して利用いただき、速やかにボランティアを派遣するために重要な役割を果たします。社会福祉協議会は、日進市、日進災害ボランティアコーディネーターの会と協力し、毎年「養成講座」を開催し、コーディネーター増員に努めています。