里山って いいな

里山・低山の魅力を伝えていきたいと思います

「夜船」に「北窓」…。何のことか、お分かりですか? 今日は、春のお彼岸の中日。「おはぎ」を頬張りながら、このクイズに挑戦してみましょう。

 「春分の日」の20日は、春のお彼岸の中日です。
 このところ、日進市の北高上緑地で「コバノミツバツツジが咲いた」「桜が開花した」などと騒いでいる私ですが、実は「花より団子」派です。
 ですから、お彼岸に限らず、年がら年中、我が家には「おはぎ」などのスイーツが用意されています。たまたま切れてしまうとまずいので、冷凍庫にまで収まっています。
f:id:miffy17s:20210320111442j:plain:left:w250 そういえば先日、何気なく見ていたスーパーのチラシに「おはぎ」と「ぼた餅」の写真が並んで掲載されていました(写真㊧)。多くのスーパーのチラシや店頭では「おはぎ」という表記が圧倒的に多いようです。

 「おはぎ」?
 「ぼた餅」?
 この2つ、何が違うのでしょうか。
 というわけで、ちょっと調べてみました。
 
 f:id:miffy17s:20210320173656j:plain:right:w280漢字で書くと一目瞭然。
 「お萩」と「牡丹餅」。
 萩(はぎ)の季節に食べるのが「おはぎ」、牡丹(ぼたん)の季節に食べるのが「ぼた餅」。つまり、秋のお彼岸に食べるのが「おはぎ」、春のお彼岸に食べるのが「ぼた餅」というわけです。
f:id:miffy17s:20210320133358j:plain:left:w280「おはぎ」は、言うまでもなく、餡(あん)を使った餅菓子の一種。菓子の表面に小豆の皮が浮かぶ様子が、秋の七草のひとつである萩の花(写真㊧)に似ていることから「御萩(おはぎ)餅」と呼ばれるようになり、それが「おはぎ」に変わったとされています。
f:id:miffy17s:20210321075305j:plain:right:h250 ハギの仲間には多くの種類がありますが、最も一般的なのがヤマハギ(山萩、写真㊨)。単にハギという場合はヤマハギを示すことが多いと言われています。
f:id:miffy17s:20210320075725p:plain:left:w250 「そういえば、見たことがないなー」という方は、ぜひ日進市の北高上緑地においでください。緑地の北西エリアにある「アオダモ広場」(地図参照。クリックすると拡大表示されます)の一画に自生しています。今は花の時期ではありませんが、樹名板が立っているのですぐに分かります。
 f:id:miffy17s:20210320140632j:plain:right:w280 一方の「ぼた餅」は、小豆を春に咲く牡丹の花(写真㊨)に見立てたことから「牡丹餅」と呼ばれていたのが「ぼた餅」に変わったと言われています。 

 作る季節に違いがあり、その季節の花の名前に由来していたというわけです。
 なーんだ、そうだったんですね。納得です。
 これで終わり、と思ったら、続きがまだまだあります。「おはぎ」「ぼた餅」の世界、奥がなかなか深そうです。

 f:id:miffy17s:20210320153751j:plain:left:w300f:id:miffy17s:20210320153807j:plain:right:w280「おはぎ」は粒餡、「ぼた餅」は漉(こ)し餡…なのだそうです。
 えっ、どういうこと?
 またまた、調べてみました。
 秋に収穫したばかりの小豆は皮が柔らかいので、皮もそのままつぶして食べることができます。このため、秋に食べる「おはぎ」には粒餡が使われました。
 一方、一冬越し、「ぼた餅」を作る春ごろになると、小豆の皮が固くなってしまっているので、皮を取り除いた漉し餡が使われていたそうです。
 今では、小豆の品種改良や保存技術が進んだので、いつでも粒餡で作ることができるようになっています。

 へえー、そうなんだ。納得です。
 続きが、まだあります。

f:id:miffy17s:20210320173935j:plain:left:w280 昔は、「おはぎ」は、萩の花のように細長い俵のような形で作られ、「ぼた餅」は、牡丹の花のように大きな丸い形で作られていたそうです。 
 主にうるち米を使うのを「おはぎ」、主にもち米を使うのを「ぼた餅」と呼ぶ地域もあるとか。
 また、餡でくるんだものを「ぼた餅」、黄な粉をまぶしたもの(写真㊤)を「おはぎ」と呼ぶ地域もあるようです。

 いろいろな説や違いが出てきましたね。地域によっても差がいろいろあるようで、季節や形などの違いに関係なく「おはぎ」「ぼた餅」のいずれかで呼んでいる場合もあるようです。

 実は、続きがまだあります。
 ブログタイトルを思い出してください。
 そうです、「『夜船』に『北窓』…。何のことか、お分かりですか?」でしたね。
 ということで、いよいよ本日の「本題」です。
 ちょっと難しいですよ。

 春は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」と呼ばれていることは分かりましたよね。では、夏と冬は?

 「そんなのあるのか?」と思われそうですが、実はあるのです。
 答を言ってしまうと、夏は「夜船(よふね)」、冬は「北窓(きたまど)」です。
 どういうことなのか見当すらつかないですよね。
 これも諸説あり、それぞれ微妙に違うようですが、一例をあげてみましょう。

 ご飯をつぶして作る「おはぎ」や「ぼた餅」は、お餅と違って臼(うす)で搗(つ)くことはしません。ぺったんぺったんという音がしないので、どこのお宅が、いつ作っているのか、隣近所の人でも分かりません(搗き知らず)。 
 一方、昼はともかく、夜は暗くて船がいつ岸に"着いた"か分かりませんよね(着き知らず)。
 このことになぞらえ、夏の「おはぎ」や「ぼた餅」は「夜船」と呼ばれるようになったそうです。
 「搗(つ)き知らず→着(つ)き知らず」というわけです。

 同様に冬は…
 「搗(つ)き知らず→月(つき)知らず」。
 北にある窓からは"月"が見えない(月知らず)ことから、冬の「おはぎや」「ぼた餅」は「北窓」と呼ばれるようになったのだそうです。

 言葉遊びなのでしょうが、これを思いついた人のセンスの良さに驚きです。私は残念ながらこうした才能を持ち合わせていないので、ただただ敬服します。

 f:id:miffy17s:20210320174026j:plain:right:w280今回も私にとって「へぇー、そうなんだ」という話ばかりでした。
 世の中、知らないことだらけ。
 知っているのと、知らないのとでは大違いです。
 今回の、この話。春のお彼岸中日の今日、「ぼた餅」をほおばりながら家族の皆さんに披露すると大いに受けること請け合いです。子どもたちが、こう言って目を丸くしますよ。
 「お父さんって、すごい。博識だね。見直した!!」
   
 北高上緑地の「アオダモ広場」近くに自生している「ヤマハギ」の前で、この話を披露するのもいいですよ。ぜひ、親子で北高上緑地に遊びに来てくださいね。

【参考Webサイト】
・ぼた餅とおはぎの違いってご存じですか? そしてこんな雑学が
 /Kanro/Sweeten the Future
・ぼたもち/フリー百科事典「ウィキペディアWikipedia)」
・「おはぎ」「ぼたもち」の違いは季節にあり!こしあん粒あん
 どう違う?/ロコガイド/トクバイニュース