里山って いいな

里山・低山の魅力を伝えていきたいと思います

「人間、年をとると丸くなる」と、よく言われます。この慣用句の由来は? 里山の樹木と何か関係があるのでしょうか

f:id:miffy17s:20210201111433j:plain:left:w350 突然ですが、この木、何の木だとお思いですか。楕円形で、縁が滑らかな葉がたくさんついていますよね。
 「う~ん?!」と、考え込む方もいらっしゃるでしょう。 
 答えを聞くと、きっと驚かれると思います。
 実は、これ「ヒイラギ」なんです。
 昨日、「節分とクリスマスに登場する2つの"ヒイラギ"。『似て非なるもの』だったとは!!」というタイトルでブログを更新した際、面白い話を一つ、書き忘れてしましました。ということで、今日は、そのお話です。
 f:id:miffy17s:20210131100123j:plain:right:h280「ヒイラギ」と言えば、「葉の縁に鋭いトゲ」(写真㊨)と、誰もが思うことでしょう。ところが、このトゲは若いうちは鋭いのですが、老いてくるとトゲが次第に少なくなり、最後にはトゲがない滑らかな丸っこい葉(全縁)になってしまうのだそうです(写真㊦)。
f:id:miffy17s:20210201120518j:plain:left:h280 これでは「葉の縁に鋭いトゲ」と思い込んでいた人には何の木か分からないでしょうし、鬼を退散させることもできなくなってしまうことでしょう。
 北高上緑地には老木はなさそうなので、トゲがない葉を見たことはありませんが、いったい、どうしてこういうことになってしまうのでしょうか。
 調べているうちに、面白いwebサイトを見つけました。それは、「ギャザリア・ビオガーデン『フジクラ 木場千年の森』」というサイト。はかせ(博士)と、さくらちゃんによるQA方式で、とても分かりやすく、小さな子どもにお父さん、お母さんが読んであげるのにぴったりです。
 要約すると―。

若いうちは木の高さが低く、鹿などの草食動物に葉を食べられてしまう恐れがあるためトゲで葉を守っています。でも、木が大きくなると鹿などが食べようとしても葉まで届かなくなります。そうすると、葉を守るためにつけていたトゲは、もう要らなくなります。そこで、トゲのない普通の葉に変身するというわけです。

 とても面白い話ですね。
 そして、ヒイラギが年をとり、葉のトゲがなくなってが丸くなる様を人間になぞらえて「年をとると丸くなる」と言うようになったと伝えられています。
 《へぇー、そうだったんだぁ!》
 でも、それは、ちょっと置いておくことにして、ここで新しい疑問が出てきました。
 f:id:miffy17s:20210201001408j:plain:right:h260それは「カクレミノ」の葉についてです。
 カクレミノは葉に変異が大きく、1本の木の中でも3~5つに切れ込んだ葉や、切れ込みが全くない葉が混じっています(写真㊨)。
 普通は、若い木は葉の切れ込みが多く、老木になるほど切れ込みがなくなっていくとされています(写真㊦)。北高上緑地内を観察してみても、そうした傾向が見られます。
 f:id:miffy17s:20210201001125j:plain:left:w260ヒイラギと似ているような気がしますが、疑問なのは、ヒイラギと違ってカクレミノの場合は幼木の時に葉にトゲがあるわけではないということです。
 いったいどういう理由で、カクレミノは若い時は葉に切れ込みが多く、年をとると葉が丸くなるのでしょうか。ヒイラギとは違った要因が何かあるのでしょうか。
 植物生理に関する専門的な解説などを読んでいると頭が痛くなってしまいますが、どうやら林の中の照度と関係が深いということのようです。引き続き勉強し、詳しいことが分かったらご紹介します。
 
 さて、「人間も、年をとると丸くなる」についてです。
 「丸くなる」のは、「さまざまな経験を積み、視野が広がって柔軟な発想ができるようになった結果」「自分の価値観とは少し違うものの、許容範囲が広がって寛大になり、穏やかになるため」という見方や、「若い時は何でもできると息がっていたものの、年をとって現実を思い知ったから」とか「起こるのもエネルギーを使うし、いろんなことがどうでもよくなってしまったから」といった声もあるそうです。
 ただ、年をとると、逆に「短気になる」「怒りやすくなる」「自己中になる」「性格が悪くなる」「偏屈になる」……と指摘する声も少なくありません。
 私も、多分、いや間違いなく、後者のようです。妻や子どもたちに言われるまでもなく、自覚しているほどですから。
 では、どうして、そうなってしまうのか。HEALTH PRESSのサイトから、その答えを引用させていただきました。

 老化に伴い自己抑制力や理性が低下し、そのときの気分や感情がそのまま表れやすくなるためだ。その人の"人間性が露呈される"ともいえる。

 元来激しい気性の持ち主は、特に注意が必要。現役のときは理性によってうまくカバーできても、年を取るとそのベールがはがれやすくなってしまうものだ。

 「人間性が露呈される」
 「ベールがはがれる」
 なんか、嫌ですね。こうはなりたくないものです。

f:id:miffy17s:20210201182705j:plain:right:h200 明日2月2日は節分です。
 まずは「柊鰯(ひいらぎいわし)」を玄関に飾り、イワシを食べます。
 そして夜は、豆まきをして家の中を清めた後、今年の恵方である南南東を向き、よそ見をせずに黙々と「恵方巻」にかぶりつきます。
 こんな願い事をしながら。
 「老化に伴って自己抑制力や理性が低下しませんように」
 「心の奥底、闇の世界に棲みつく鬼が退散しますように」

【参考文献・webサイト・出典】
・ヒイラギ/庭木図鑑 植木ペディア
リーフレット静岡県自然ふれあい施設」/静岡県
・生きものワンダーランド 「Q.ヒイラギの木は大きくなると、トゲがなくなる
 の?」/ギャザリア・ビオガーデン「フジクラ 木場千年の森」
・みんなの広場・植物Q&A/日本植物生理学会
・カクレミノ/岡山理科大学・旧植物生態研究室(波田研)ホームページ
・「年をとって丸くなる」の語源とは?/雑学情
・年を取って性格が丸くなるのはなぜ?/日本キャリコネニュース
・年をとると丸くなる? 短気になる?/日本アンガーマネジメント協会
・"年を取ると人間丸くなる"はずが、人格変化に驚く周囲の人々/HEALTH PRESS