里山って いいな

里山・低山の魅力を伝えていきたいと思います

節があったり、中が空洞だったり、1日で1㍍以上伸びたり…。とにかく不思議なことばかり。タケっていったい何者?!…。

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 昨夜来の雨が未明から本格的な降雨となった17日、北高上緑地(日進市)の竹林(写真㊤)で予定されていた里山イベント「タケノコ掘り体験」は中止となり、18日に順延されました。残念ですが、タケノコの成長を促す絶好の雨と前向きにとらえ、明日に備えて今日は英気を養っておきましょう。タケノコ掘りは結構、体力を使いますから…。
 というわけで、今日はパソコンに向かって勉強です。ちょうどいい機会なので、「タケ」について基礎を学ぼうと思います。と言っても、難しい話はさて置き、「へぇ~、そうなんだぁ!」と納得する程度で、気軽にいきましょう。

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■タケ(竹)は木? それとも草?

 f:id:miffy17s:20210417140128j:plain:right:w350簡単に分類すると、木は、幹が木化(もくか、もっか)して肥大成長する植物。草は、茎が木化せず、肥大成長しない植物。
 木化(木質化=もくしつか)とは、植物の組織壁にリグニンという化合物が沈着して組織が固くなること。肥大成長とは、樹皮の内側にある形成層が成長し、幹が太くなること。
 ですが、バナナのように木だと思われている植物が草だったり、茎が肥大成長するのに木化しない植物があるなど、さまざまです。
 「黒」と「白」の間にある「灰色」は、「黒でも、白でもない別の色」。これと同じように、タケは「木でもない」し「草でもない」。要するに「タケはタケ」ということのようです。「キノコ」も同様で、「キノコはキノコ」。「物事は、あまりはっきり二つに分けない方がいいこともある」と指摘する人もいます。

■「タケ(竹)」と「ササ(笹)」の違いは?

 f:id:miffy17s:20210417133259p:plain:left:w350「タケ」の名の由来は「高い」や「丈(たけ)」、「ササ」の由来は「ささやか」から、なのだそうです。このことから、大きなものが「タケ」で、小さなものが「ササ」と呼ばれているようですが、前の項と同様、そんなに単純なものでもなさそうです。
 というのは、「メダケ」は大型で、大きなものは8㍍もあるのに「ササ」の仲間。一方、「オカメザサ」は小型で、大きなものでもせいぜい2㍍しかないのに「タケ」の仲間に分類されているそうです。
 七夕の時に登場するのは「ささのは~さ~らさら」でおなじみの「ササ」ですが、実際に使われているのは「タケ」の上の方の部位なのだとか。
 植物学上は、どちらも「イネ目イネ科タケ亜科」に属し、よく似ています。「タケ」でも「ササ」でも、茎の部分を利用したものは「タケ」、葉の部分を利用したものが「ササ」という分け方がありますが、個人的にはこれが一番分かりやすいのではないかと思います。
 f:id:miffy17s:20210417140254j:plain:right:w350とはいえ、簡単な見分け方を調べてみると…。
成長した時にタケノコの皮が落ちるのが「タケ」。皮が落ちずに残り、茎を包むのが「ササ」
・「タケ」の葉の葉脈は格子状。「ササ」の葉脈は平行に伸びている
・茎の節目から出る枝の本数は、「タケ」は2本、「ササは」3本以上(5~6本)
なのだそうです。 
 いずれも、昔から神秘的な植物、ありがたいものとされてきましたので、七夕に飾るのはどちらでも問題ないそうです。

■タケは丸くて節があり、中が空洞になっています。なぜでしょうか?

 f:id:miffy17s:20210417135824j:plain:left:h350丸いのは樹木と同じで、抵抗が少ないからではないでしょうか。素人考えですが…。節と節の間隔を調べると、根元は狭く、上の方に行くに伴って広くなり、先の方はまた狭くなっているようです。なるほど、間隔が狭い方が強度が高いですよね。ですから、根元は全体の重みに耐えられるように、先の方は枝葉の重みに耐えられるように狭くなっているのだそうです。
 では、真ん中辺りの間隔が広くなっているのはなぜでしょう?
 間隔が狭いと丈夫ではありますが、丈夫過ぎると"しなやかさ"が失われ、強い横風などの圧力が加わると折れてしまうからだそうです。その危険を避ける知恵なのでしょう。
 では、中が空洞になっているのは?
 竹を切ると、水の通り道の「道管」と、養分の通り道の「師管」があるのが分かります。よく見ると、それらは外側ほど密になっているのだそうです。
 強い風など横からの圧力が加わって、タケが曲がる時、負荷がかかるのは外側なので、外側を丈夫にしようとする工夫なのだそうです。
 丸くて節があり、中が空洞になってるのは、負荷がかかっても折れたりしないような工夫をいろいろしていると言えます。すごいですね。
 「中が空洞なのは、成長を早くするため、といわれるが、そのほかに中に二酸化炭素をためて寒さに耐えるため、とも考えられている」と指摘する方もいらっしゃいます。

■タケノコは驚異的な成長を示します。秘められた仕組みとは?

 f:id:miffy17s:20210417133559j:plain:right:w350竹の研究で世界的に有名な上田弘一郎博士の調査によると、1日(24時間)の伸長記録はマダケが121㌢、モウソウチクが119㌢だそうです。普通の樹木では考えられないことです。その差は、「成長点」の違いだと言われています。
 樹木の場合は、先端の一カ所で細胞分裂して伸びていくのに対し、タケはトップにある「成長点」のほか、それぞれの節にある「成長帯」で伸びていくのだそうです。
 提灯やアコーディオンをイメージすると分かりやすいですね。例えば、20個の節部でそれぞれ5㌢伸びたとすると、合計100㌢=1㍍になります。畳まれていた提灯の蛇腹を一気に引き延ばすといった感じです。
 f:id:miffy17s:20210417132758j:plain:left:w350実に不思議な「節」ですが、実は、この節の数、タケノコ時代に既に決まっているのだそうです。タケノコをゆでて皮をむき、縦に半分に切ると、ひだひだが見えますよね。あれが、将来の「節」というわけです。
 それはともかく、タケは驚異的な速さで成長し、わずか2~3か月のうちに10~20㍍も伸びますが、成長しきってしまった後は伸長も肥大もしません。
 そういえば、「かぐや姫」も、竹取の翁が竹の中から見つけた時は「3寸ばかり(約10㌢)でしたが、3か月で成人しましたよね。
 雑木林の中で、タケは他の樹木と厳しい生存競争を余儀なくされます。光の奪い合いも、その一つです。そこでは、成長のスピードが重要なカギを握ることになります。驚異的な成長速度の速さは、まさにタケが競争社会の中で生き延びるための戦略と言えるでしょう。

■今、タケの葉が黄色く色づいています。タケも黄葉して落葉するのですか?

 f:id:miffy17s:20210417133743j:plain:right:h400タケは「常緑」です。ですが、同じ葉が枝につきっぱなしというわけではなく、ほぼ毎年新しい葉に入れ替わるのだそうです。その更新時に、黄葉します。黄葉するのは短い期間なので、見逃してしまうことも少なくありません。実は、その時期こそ、春。まさに今です。これが「竹の秋」と呼ばれています。
 この時期に、黄葉して落葉はしますが、同時に新しい葉が伸びてきますから、葉がまるでない裸の状態にはなりません。ですから「常緑」なのです。ちょうど今、北高上緑地内で紅葉が見られるクスノキと同じことです。
 タケの黄葉は、18日に皆さんがタケノコ掘りを体験される北高上緑地内の2カ所の竹林で目にすることができるはずです。地表に頭を出したタケノコにばかり気を取られていないで上空を見上げ、きれいな黄葉も楽しんでくださいね。

■タケの花を見たことがありません。タケも花が咲くのですか?

 f:id:miffy17s:20210417113649p:plain:left:w350タケ類はイネ(稲)の仲間です。普通のイネ科植物は毎年春に発芽し、夏ごろに花を咲かせ、秋に実をつけて一生を終えます。
 竹も花は咲きますが(参考写真㊧=出典:竹 Bamboo Home Page)、開花は極めて珍しく、開花周期の記録の例を見ると、日本ではモウソウチクが67年、マダケが120年というデータがあります。私たちが一生に一度見ることができるかどうかといった感じですね。
 「花が咲くと竹林ごと滅びる」と言われ、モウソウチクは地下茎ごと枯死するそうですが、マダケは実際はササの状態で生き延び、数年で元通りになるとされています。

■ところで、タケノコの上手な掘り方は?

 f:id:miffy17s:20210414195548j:plain:right:h350タケは、地面から下はすべて「地下茎」でつながっています。竹林の中には、この地下茎が無数に広がっていて、1平方㍍の中に延べ8㍍もあるそうです。タケがつくり出した養分はこの地下茎に蓄えられ、タケノコが成長する際の養分として使われます。
 f:id:miffy17s:20210417140412j:plain:left:w350この地下茎にも「節」があり、その「節部」には「芽」があります。その芽が春になるとタケノコとなって伸び始め、やがてタケになるというわけです。
 タケノコの掘り方は、図を参考にしてください。You Tubeでも動画がたくさん紹介されています。言葉で紹介するよりもはるかに分かりやすいので、ぜひYou Tubeをご覧ください。
 タケノコは日に当たるとエグ味が出ます。そのため、地面から顔を出すか出さないかというものを探し当て、早朝に収穫するので良いとされています。
 また、手入れが行き届いた竹林で採れる質が良いタケノコは「白子」、荒れた竹林で採れるものは「黒子」と呼ばれているそうです。

               ◇

f:id:miffy17s:20210331173741j:plain:right:w100 webサイトをいろいろ調べ、私なりに解釈、咀嚼して再構成し、まとめてみました。今回も多くのことを知りました。まさに《へぇ~、そうなんだぁ!》と、驚くことばかりでした。 
 駆け出し里山逍遥人こと「里山のぽんぽこりん」の勉強は、まだまだ続きます。

【出典、参考webサイト】
①農LABO(近畿大学農学部スペシャルサイト)/環境管理学科/井上 昭夫 教授/里山生態学研究室
②森林・林業学習館/木と草の違い
③違いは?/「木本」と「草本」の違い
TBSラジオ/全国こども電話相談室・リアル!/竹は木なんですか、草なんですか?
⑤違いが分かる事典/「竹」「笹」の違い
⑥竹 Bamboo Home Page/タケノコの驚異的な伸びぶり、「竹の秋」って、どんな現象?など
⑦竹・笹・バンブー情報局/竹の稈齢(年齢)を見分ける方法6選
⑧笹JAPON/竹の年齢の数え方
⑨庭木図鑑 植木ペディア/モウソウチク/マダケ/ハチク
⑩IISE 国際社会経済研究所/竹の七不思議