里山って いいな

里山・低山の魅力を伝えていきたいと思います

水滴を湛えた北高上緑地のコバノミツバツツジ。雨に濡れると透けてガラス細工のようになる神秘の花「サンカヨウ」を思い出しました。

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 「また雨の日曜日か」とつぶやきながら、「 ウェザーニュース」のサイトを開きました。
 「4日からは二十四節気『「清明(せいめい)』、七十二候『玄鳥至(つばめきたる)』です」と、あります。
 「清明」は「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」の略。「こよみ便覧」(江戸時代に書かれた暦の解説書)の清明の説明部分で登場しており、この時期は、草木をはじめとしたすべての物が活き活きとしており、清らかで美しいということを伝えているそうです。
 七十二候では、そろそろツバメが渡ってくる時期だと伝えています。

 f:id:miffy17s:20210329143606p:plain:right:w350今日は、日進市の北高上緑地で3月27日から日進里山リーダー会が開いてきた「コバノミツバツツジ観賞会」の最終日。雨空を眺めながら《どうしようかな》としばらくぐずぐずしていましたが、最終日のコバノミツバツツジをカメラに納めようと思い、緑地に出かけました。

f:id:miffy17s:20210404155716j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210404175710j:plain:right:w350 「観賞会最終日」なんてとんでもない、まだまだきれいに咲き誇っているのを見てびっくりしました。咲き始めが早かった「中尾根道」群落の標本木は、さすがにもう「葉ツツジ」となっていますが、「南尾根里道」の群落のツツジたちは健在(写真㊤㊨)。「南尾根十字路」のすぐ南にあり、毎年一番最後まできれいに咲くツツジは、まだ蕾がいっぱい。これからが出番の状況です。
 雨は明日5日未明まで残りそうですが、コバノミツバツツジはあと1週間ほどは楽しめそうです。

 f:id:miffy17s:20210404175950j:plain:left:h400ところで、今日一番の収穫と言えば、雨を湛えた可憐なコバノミツバツツジ(トップ写真と写真㊨)に出会ったことです。
 天気がいい日の深山や里山は、それはそれで素晴らしいのですが、雨の日も捨てがたい魅力があります。
 私は山登り歴がそろそろ半世紀になりますが、実は雨の日が嫌いではありません。土砂降りは別としても、雨の中の山歩きは、どちらかと言えば好きな部類です。 
 集中豪雨に遭遇し、普段はちょろちょろとしか水が流れていない黒部川源流が渡渉できなかったり、濁流のものすごさに怖気ずくことが何度もありましたが、花の季節にしっとりと降る雨は、なかなかいいいものです。特に、私のように撮影好きにとっては、絶好のシャッター日和となります。

f:id:miffy17s:20210404170153j:plain:right:w350f:id:miffy17s:20210404170156j:plain:left:w350 この日も、ファインダー越しに雨を湛えたコバノミツバツツジを愛でながら眺めている時、ふと「サンカヨウ」の花(写真㊨)を思い出しました。「サンカヨウ」は水(雨)に濡れると透明になる神秘の花です(写真㊧)。
 私が「サンカヨウ」に初めて出会ったのは、20年近く前。白馬の栂池自然園の中でした。白馬登山の途中で雨にたたられて途中の山小屋で宿泊。夕方、ちょっとだけ雨が途切れた瞬間に栂池自然園に飛び込み、偶然出会うことができました。
 自然園の担当者によると、「サンカヨウは咲く期間がとても短いので、なかなか見ることができない。雨に濡れて透明になったサンカヨウを見ることは、さらにとても難しい」のだそうです。雨に打たれるだけでなく、いろいろな条件が必要だそうで、私の場合、まさに奇跡的な出会いのようでした。

f:id:miffy17s:20210404182038j:plain:right:w350 その「サンカヨウ」と比べても劣らないほど、今日のコバノミツバツツジは素晴らしいと感じました。雨に濡れると透けてガラス細工のようになるのは「サンカヨウ」など、極わずかな白色の花だけのはずですが、薄紫色のコバノミツバツツジも、まさに同じような現象を見せてくれました。
 これは、感動ものだと思います。皆さんも、「雨の日は嫌だ」なんて言わずに、ぜひ北高上緑地にお出かけください。

                ◇
 ところで、「サンカヨウ」が水に濡れると透明になるメカニズムについては、はっきりとしたことは分かっていないようです。サイトを検索すると、いろいろな説が紹介されています。その中の一つで、簡潔で分かりやすいサイトを引用しておきます。フランスの田舎でのんびりと過ごしているというライター・水木誠人さんが提供している「暮らし―の(クラシーノ)」というサイトの一部で、「雨に濡れると透明になるサンカヨウとは?その理由から育て方、花言葉までご紹介!」というタイトルのページです。

サンカヨウがジワジワと濡れることで透明になる理由について、専門家でもまだそのメカニズムはわかっていません。ただ、花弁が薄く、花弁がジワジワと濡れることで水分を吸収しますが、光を吸収しないため、透明に見えるのではないかと想像できます。

たとえば、白いティッシュが水に濡れると、ティッシュが水分を吸収し、ティッシュそれ自体は透明に見えます。完全に同じではないにせよ、サンカヨウが濡れると透明になる理由はこのメカニズムに似ているのかもしれません。

ゆっくりと時間をかけて湿っていったサンカヨウの花弁は、乾燥すると元のとおり、白い花に戻ります。濡れると透明になる理由も、乾いたら白く戻る理由も、はっきりとわかりませんが、だからこそサンカヨウが貴重な花で、会いに行きたくなるともいえます。

 そのほか、「FNNプライムオンライン」の「濡れると透明になる花「サンカヨウ」が神秘的…なぜ白から変化? 2つの植物園に聞いた」(2020年5月31日)の中にも、同様に「"光の散乱"と"透過"がかかわっていると考えています」とする植物園関係者らの私見が紹介されています。
 かなり詳しく書かれていますので、興味がある方はぜひご一読ください。
 いずれも、ネットで「サンカヨウ」と検索すると、すぐにヒットするはずです。