里山って いいな

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本年度「日進里山保全実践講座」を締めくくる第3回講座が開かれ、竹林管理について学びました

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 2020(令和2)年度「日進里山保全実践講座」(日進市主催)の第3回講座が1月23日、日進市・北高上緑地駐車場の一画にある「みんなの小屋」で開かれました(写真㊤)。3回シリーズの最終回で、今回のテーマは「竹林管理とこれからの里山保全を考える」。この日は朝からあいにくの雨。竹の伐採など竹林内での体験学習は中止となり座学に切り替えられましたが、その代わり竹の生態などを細かく学ぶ貴重な機会が得られました。

 室内での座学となったため、運営を手伝っている日進里山リーダー会のメンバーが緑地内の竹林で教材として有用大型竹3種(ハチク、マダケモウソウチク)を伐採して持ち帰り(写真㊦㊧)、小屋の中に展示。準備されたテキストに沿って講座が始まりました。

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 この日は5人の受講生が出席。これまでと同様、雑木林研究会の眞弓浩二さんが講師を務めました。まずは現状の説明から。
 1960年(昭和35)年以降の燃料革命などによって薪や木炭が使われなくなり、里山を利用したり手入れをする人が減って、きちんと管理されなくなってしまいました。このため、繁殖力が強い竹が各地で勢力を拡大しています。
 こうした現状を紹介しながら、「里山林の整備・保全に取り組んでいる市民団体の中には竹の伐採に追いまくられている団体もあるほど。このまま放置すれば、北高上緑地も20年、30年後には竹林ばかりになってしまうかもしれません」と問題点を指摘されました。
 f:id:miffy17s:20210123205243j:plain 各論に移り、まず勉強したのは「竹の生態」で、▽竹の1年の成長状況▽地下茎の年齢と竹年齢の関係▽竹年齢の見方▽竹の組織構造▽竹の芽の出方と地下茎の関係―など。竹年齢の見方では、竹の稈(かん=中空になっている茎)の色合いや肌合いによって大まかに判断する判定法のほか、落葉時には先端の小枝も同時に落下する性質を生かして小枝の脱落痕を数えるという判定法も教わり、受講生は配られた枝をじっくりと観察していました(写真㊤)。
 「竹の生態」「有用大型竹3種の特徴と比較」に続いて学んだのは、「竹林の管理」「竹の伐り方」「枝のはずし方」「伐竹材の整理」。竹細工などに利用するため、きれいな稈を残したい場合の枝のはずし方として、稈の節と枝の第1節の間に少しのこぎりを入れ、枝を外側に引っ張る方法も実演紹介されました。 

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 竹林内で実習ができなかったため、講師の眞弓さんは受講生らに教材として配布する枝を切り分けたり、稈をいくつも短く玉切りするなど大忙し。最後に、何本かの竹をほどけにくいようにしっかりと結ぶロープテクニックも披露してくださいました(写真㊤)。

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 このお手本を参考に、受講生(写真㊤㊧)だけでなく、日進里山リーダー会の会員も挑戦(同㊨)。なかなかうまくいきませんでしたが、何度も繰り返すうちにコツをつかみ、うまく結ぶことができるようになりました。最後は、あちこちでロープワークの輪が広がり、みんなで実習を楽しみました(写真㊦)。

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 講師の眞弓さんは、最後に「竹は成長が速く、生命力も大変に強い。竹に勝てる樹木はない。竹や竹林を放置しておくと、いろいろな問題を抱えることになる」と、あらためて指摘。「竹は二酸化炭素を吸収してくれる素材。竹を活用するなど、もっともっと付き合っていくことが大切。(国産の)タケノコも、もっとたくさん食べましょう。そうすると竹林管理のためにもなりますし、竹林も喜んでくれますよ」と力説されていました。