里山って いいな

里山・低山の魅力を伝えていきたいと思います

節があったり、中が空洞だったり、1日で1㍍以上伸びたり…。とにかく不思議なことばかり。タケっていったい何者?!…。

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 昨夜来の雨が未明から本格的な降雨となった17日、北高上緑地(日進市)の竹林(写真㊤)で予定されていた里山イベント「タケノコ掘り体験」は中止となり、18日に順延されました。残念ですが、タケノコの成長を促す絶好の雨と前向きにとらえ、明日に備えて今日は英気を養っておきましょう。タケノコ掘りは結構、体力を使いますから…。
 というわけで、今日はパソコンに向かって勉強です。ちょうどいい機会なので、「タケ」について基礎を学ぼうと思います。と言っても、難しい話はさて置き、「へぇ~、そうなんだぁ!」と納得する程度で、気軽にいきましょう。

           ※目次をクリックすると、各項目へジャンプします。 

■タケ(竹)は木? それとも草?

 f:id:miffy17s:20210417140128j:plain:right:w350簡単に分類すると、木は、幹が木化(もくか、もっか)して肥大成長する植物。草は、茎が木化せず、肥大成長しない植物。
 木化(木質化=もくしつか)とは、植物の組織壁にリグニンという化合物が沈着して組織が固くなること。肥大成長とは、樹皮の内側にある形成層が成長し、幹が太くなること。
 ですが、バナナのように木だと思われている植物が草だったり、茎が肥大成長するのに木化しない植物があるなど、さまざまです。
 「黒」と「白」の間にある「灰色」は、「黒でも、白でもない別の色」。これと同じように、タケは「木でもない」し「草でもない」。要するに「タケはタケ」ということのようです。「キノコ」も同様で、「キノコはキノコ」。「物事は、あまりはっきり二つに分けない方がいいこともある」と指摘する人もいます。

■「タケ(竹)」と「ササ(笹)」の違いは?

 f:id:miffy17s:20210417133259p:plain:left:w350「タケ」の名の由来は「高い」や「丈(たけ)」、「ササ」の由来は「ささやか」から、なのだそうです。このことから、大きなものが「タケ」で、小さなものが「ササ」と呼ばれているようですが、前の項と同様、そんなに単純なものでもなさそうです。
 というのは、「メダケ」は大型で、大きなものは8㍍もあるのに「ササ」の仲間。一方、「オカメザサ」は小型で、大きなものでもせいぜい2㍍しかないのに「タケ」の仲間に分類されているそうです。
 七夕の時に登場するのは「ささのは~さ~らさら」でおなじみの「ササ」ですが、実際に使われているのは「タケ」の上の方の部位なのだとか。
 植物学上は、どちらも「イネ目イネ科タケ亜科」に属し、よく似ています。「タケ」でも「ササ」でも、茎の部分を利用したものは「タケ」、葉の部分を利用したものが「ササ」という分け方がありますが、個人的にはこれが一番分かりやすいのではないかと思います。
 f:id:miffy17s:20210417140254j:plain:right:w350とはいえ、簡単な見分け方を調べてみると…。
成長した時にタケノコの皮が落ちるのが「タケ」。皮が落ちずに残り、茎を包むのが「ササ」
・「タケ」の葉の葉脈は格子状。「ササ」の葉脈は平行に伸びている
・茎の節目から出る枝の本数は、「タケ」は2本、「ササは」3本以上(5~6本)
なのだそうです。 
 いずれも、昔から神秘的な植物、ありがたいものとされてきましたので、七夕に飾るのはどちらでも問題ないそうです。

■タケは丸くて節があり、中が空洞になっています。なぜでしょうか?

 f:id:miffy17s:20210417135824j:plain:left:h350丸いのは樹木と同じで、抵抗が少ないからではないでしょうか。素人考えですが…。節と節の間隔を調べると、根元は狭く、上の方に行くに伴って広くなり、先の方はまた狭くなっているようです。なるほど、間隔が狭い方が強度が高いですよね。ですから、根元は全体の重みに耐えられるように、先の方は枝葉の重みに耐えられるように狭くなっているのだそうです。
 では、真ん中辺りの間隔が広くなっているのはなぜでしょう?
 間隔が狭いと丈夫ではありますが、丈夫過ぎると"しなやかさ"が失われ、強い横風などの圧力が加わると折れてしまうからだそうです。その危険を避ける知恵なのでしょう。
 では、中が空洞になっているのは?
 竹を切ると、水の通り道の「道管」と、養分の通り道の「師管」があるのが分かります。よく見ると、それらは外側ほど密になっているのだそうです。
 強い風など横からの圧力が加わって、タケが曲がる時、負荷がかかるのは外側なので、外側を丈夫にしようとする工夫なのだそうです。
 丸くて節があり、中が空洞になってるのは、負荷がかかっても折れたりしないような工夫をいろいろしていると言えます。すごいですね。
 「中が空洞なのは、成長を早くするため、といわれるが、そのほかに中に二酸化炭素をためて寒さに耐えるため、とも考えられている」と指摘する方もいらっしゃいます。

■タケノコは驚異的な成長を示します。秘められた仕組みとは?

 f:id:miffy17s:20210417133559j:plain:right:w350竹の研究で世界的に有名な上田弘一郎博士の調査によると、1日(24時間)の伸長記録はマダケが121㌢、モウソウチクが119㌢だそうです。普通の樹木では考えられないことです。その差は、「成長点」の違いだと言われています。
 樹木の場合は、先端の一カ所で細胞分裂して伸びていくのに対し、タケはトップにある「成長点」のほか、それぞれの節にある「成長帯」で伸びていくのだそうです。
 提灯やアコーディオンをイメージすると分かりやすいですね。例えば、20個の節部でそれぞれ5㌢伸びたとすると、合計100㌢=1㍍になります。畳まれていた提灯の蛇腹を一気に引き延ばすといった感じです。
 f:id:miffy17s:20210417132758j:plain:left:w350実に不思議な「節」ですが、実は、この節の数、タケノコ時代に既に決まっているのだそうです。タケノコをゆでて皮をむき、縦に半分に切ると、ひだひだが見えますよね。あれが、将来の「節」というわけです。
 それはともかく、タケは驚異的な速さで成長し、わずか2~3か月のうちに10~20㍍も伸びますが、成長しきってしまった後は伸長も肥大もしません。
 そういえば、「かぐや姫」も、竹取の翁が竹の中から見つけた時は「3寸ばかり(約10㌢)でしたが、3か月で成人しましたよね。
 雑木林の中で、タケは他の樹木と厳しい生存競争を余儀なくされます。光の奪い合いも、その一つです。そこでは、成長のスピードが重要なカギを握ることになります。驚異的な成長速度の速さは、まさにタケが競争社会の中で生き延びるための戦略と言えるでしょう。

■今、タケの葉が黄色く色づいています。タケも黄葉して落葉するのですか?

 f:id:miffy17s:20210417133743j:plain:right:h400タケは「常緑」です。ですが、同じ葉が枝につきっぱなしというわけではなく、ほぼ毎年新しい葉に入れ替わるのだそうです。その更新時に、黄葉します。黄葉するのは短い期間なので、見逃してしまうことも少なくありません。実は、その時期こそ、春。まさに今です。これが「竹の秋」と呼ばれています。
 この時期に、黄葉して落葉はしますが、同時に新しい葉が伸びてきますから、葉がまるでない裸の状態にはなりません。ですから「常緑」なのです。ちょうど今、北高上緑地内で紅葉が見られるクスノキと同じことです。
 タケの黄葉は、18日に皆さんがタケノコ掘りを体験される北高上緑地内の2カ所の竹林で目にすることができるはずです。地表に頭を出したタケノコにばかり気を取られていないで上空を見上げ、きれいな黄葉も楽しんでくださいね。

■タケの花を見たことがありません。タケも花が咲くのですか?

 f:id:miffy17s:20210417113649p:plain:left:w350タケ類はイネ(稲)の仲間です。普通のイネ科植物は毎年春に発芽し、夏ごろに花を咲かせ、秋に実をつけて一生を終えます。
 竹も花は咲きますが(参考写真㊧=出典:竹 Bamboo Home Page)、開花は極めて珍しく、開花周期の記録の例を見ると、日本ではモウソウチクが67年、マダケが120年というデータがあります。私たちが一生に一度見ることができるかどうかといった感じですね。
 「花が咲くと竹林ごと滅びる」と言われ、モウソウチクは地下茎ごと枯死するそうですが、マダケは実際はササの状態で生き延び、数年で元通りになるとされています。

■ところで、タケノコの上手な掘り方は?

 f:id:miffy17s:20210414195548j:plain:right:h350タケは、地面から下はすべて「地下茎」でつながっています。竹林の中には、この地下茎が無数に広がっていて、1平方㍍の中に延べ8㍍もあるそうです。タケがつくり出した養分はこの地下茎に蓄えられ、タケノコが成長する際の養分として使われます。
 f:id:miffy17s:20210417140412j:plain:left:w350この地下茎にも「節」があり、その「節部」には「芽」があります。その芽が春になるとタケノコとなって伸び始め、やがてタケになるというわけです。
 タケノコの掘り方は、図を参考にしてください。You Tubeでも動画がたくさん紹介されています。言葉で紹介するよりもはるかに分かりやすいので、ぜひYou Tubeをご覧ください。
 タケノコは日に当たるとエグ味が出ます。そのため、地面から顔を出すか出さないかというものを探し当て、早朝に収穫するので良いとされています。
 また、手入れが行き届いた竹林で採れる質が良いタケノコは「白子」、荒れた竹林で採れるものは「黒子」と呼ばれているそうです。

               ◇

f:id:miffy17s:20210331173741j:plain:right:w100 webサイトをいろいろ調べ、私なりに解釈、咀嚼して再構成し、まとめてみました。今回も多くのことを知りました。まさに《へぇ~、そうなんだぁ!》と、驚くことばかりでした。 
 駆け出し里山逍遥人こと「里山のぽんぽこりん」の勉強は、まだまだ続きます。

【出典、参考webサイト】
①農LABO(近畿大学農学部スペシャルサイト)/環境管理学科/井上 昭夫 教授/里山生態学研究室
②森林・林業学習館/木と草の違い
③違いは?/「木本」と「草本」の違い
TBSラジオ/全国こども電話相談室・リアル!/竹は木なんですか、草なんですか?
⑤違いが分かる事典/「竹」「笹」の違い
⑥竹 Bamboo Home Page/タケノコの驚異的な伸びぶり、「竹の秋」って、どんな現象?など
⑦竹・笹・バンブー情報局/竹の稈齢(年齢)を見分ける方法6選
⑧笹JAPON/竹の年齢の数え方
⑨庭木図鑑 植木ペディア/モウソウチク/マダケ/ハチク
⑩IISE 国際社会経済研究所/竹の七不思議

北高上緑地で「ハカリノメ」という、ちょっと変わった別名を持つ樹の花がピークを迎えています。その名の由来は!?

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f:id:miffy17s:20210415080929p:plain:right:w350 一番の見ごろとなっているのは、地図の①、「大崖道広場」の一角にある樹です(上と下の2枚の写真)。ちなみに②の「南坂道」途中の樹は、花がもう終わりましたが、樹高が低いので、葉や枝をじっくり観察することができます。③の「竹林の小径」の樹はまだ若いからでしょうか、花も実もつかないようです。④の「大レンガ堰堤広場」の樹は樹高が高いので、花や葉が観察できません。※地図や写真はクリックすると拡大表示されます。
f:id:miffy17s:20210414194941j:plain:left:h450 ほぼ同時期に白い花が咲き、樹冠がまっ白になるクロバイに比べると少し地味ですが、樹形が端正な上、小さくて白い清楚な花を咲かせ、存在感がある樹として人気があるようです。
f:id:miffy17s:20210414194946j:plain:right:w400 「ハカリノメ」というのは「秤目」で、"本名"は「アズキナシ」。本名も面白いのですが、別名の「ハカリノメ」も面白いですね。どんな由来があるのでしょうか。調べてみました。
 f:id:miffy17s:20210415115302p:plain:left:w330まずは、本名の「アズキナシ」から。
 「アズキ」と「ナシ」。何となく想像がつきそうですが、念のため漢字表記を調べてみると、やはり「小豆梨」。
 10月ごろにできる赤い実(参考写真㊧)が「アズキ」に似ており、「ナシ」と同じような「石細胞(せきさいぼう)」[*注1]を持つことから名づけられたとされています。
 ほかにも、いろいろな説があります。

f:id:miffy17s:20210414195009j:plain:right:w350 さて、別名の「ハカリノメ」です。
 地図①の樹の下に脚立を立て、花が咲いている枝や、その枝に付く葉(写真㊨)、その他の葉の表や裏、幹などをじっくり観察してみました。
f:id:miffy17s:20210414195027j:plain:left:w300 アズキナシは、葉に規則正しい波状の構造があることが特徴です。その等間隔に並ぶ側脈が、物差しの目盛りをイメージさせることから「ハカリノメ」と呼ばれるようになったと言われています。   
f:id:miffy17s:20210414195048j:plain:right:w300 これとは別の説もあります。
 アズキナシの若い枝には光沢があり、白い皮目[*注2]が目立つのだそうです。枝に点在するその白い皮目を秤(はかり)の目盛りに見立てた、という説です。
 さらに、これとも異なる説を唱える人もいます。
 「短枝[*注3]をつくりやすく、花は短枝に咲く。短枝には枝を取り巻く筋状の葉痕が重なるように見える。『ハカリノメ』の由来を白い皮目に求める説明が多いが、こちらが本当の由来ではないか」
 似たような説ですが、小枝や短枝とは限定せずに「樹皮に見られる皮目を秤の目盛りに見立てた」と説明する人もいます。

 この「ハカリノメ」、最近では使われなくなったそうですが、先人がどのようにして名前を付けたかを知ることはとても楽しいですね。
 
               ◇

f:id:miffy17s:20210331173741j:plain:right:w100 さて、いろいろ調べて、今回も多くのことを知りました。まさに《へぇ~、そうなんだぁ!》と、驚くことばかり。知らないことだらけで恥ずかしくなります。 
 駆け出し里山逍遥人こと「里山のぽんぽこりん」の勉強は、まだまだ続きます。

[*注1]石細胞(せきさいぼう) 一種の異形細胞で,普通の柔細胞より大きく,細胞膜は肥厚木化して層状の構造が明瞭に認められる。ナシの中果皮,シャクヤクの塊根などにみられる。肥厚のための沈着物質はリグニン,スベリンなどであるが,隣接細胞との間に連絡の壁孔をもっている(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)。
[*注2]皮目(ひもく) 樹木の幹・枝・根などにあり、表面のコルク層を破って割れ目状に見える構造。気孔(きこう)の代わりに空気を流通させる(出典:デジタル大辞泉)。 
[*注3]短枝(たんし) 同じ樹木でも、節(葉腋)と節の間が長い枝を長枝、極端に短い枝を短枝と呼ぶ。樹木が成長するときに伸びる枝は、通常、長枝になる。ある程度のサイズになると、長枝よりも短枝を多く作ることで、樹体を大きくせずに必要な葉の量を作り、花を咲かせることができるようになる(出典:かのんの樹木図鑑)

【出典、参考webサイト】
①庭木図鑑 植木ペディア/アズキナシ
国土交通省北海道開発局/アズキナシ
③かのんの樹木図鑑/アズキナシ
④木のぬくもり・森のぬくもり/アズキナシ
ガーデニングの図鑑/アズキナシ
⑥森と水の郷あきた/春に清楚な花を咲かせるアズキナシ
⑦花蝶鳥風ー散歩道の花々
上信越高原国立公園・鹿沢インフォメーションセンター/アズキナシ
⑨庭の花木/アズキナシ
⑩井伊影男の植物観察/冬の樹木ウオッチング(アズキナシ)
⑪EVERGREEN/アズキナシ

 

日進里山リーダー会が14日、北高上緑地にスズメバチトラップを仕掛けました。女王バチを捕まえることができればいいですね。

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 この作業は毎年この時期に行っています。
 f:id:miffy17s:20210414153417j:plain:right:w350f:id:miffy17s:20210414153425j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210414153422j:plain:right:w350というのは、4月から5月にかけて、越冬から目覚めた女王バチが巣作りのため、里山の雑木林や庭、植栽のなどの樹木に飛来するからです。
 この時期に誘引トラップ(罠)を仕掛け、飛んでくる女王バチを捕獲することによって、巣を作らせないようにする効果が期待できるというわけです。
 この日は、第2水曜日なので、毎週行っている北高上緑地巡回と、毎月1回程度行っている同緑地の維持管理作業の日でした。
 このうちの一部でトラップ仕掛け班を編成。まず行ったのが、トラップづくりです。この準備作業は南入り口駐車場の一角にある「みんなの小屋」で行いました。

f:id:miffy17s:20210414151843p:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210414151936j:plain:right:w350f:id:miffy17s:20210414151950j:plain:left:w350 用意したのは、2㍑入りのペットボトル3本。
 誘引剤の材料はペットボトル1本当たり、酒300㍉㍑、酢100㍉㍑、砂糖125㌘。誘引剤の材料や配合分量にはいろいろな種類がありますが、日進里山リーダー会では名古屋市がホームページで紹介している材料を参考にしています。
 材料をテーブルの上に揃えたら、まずペットボトルを利用した捕獲器づくりです。各家庭などでも参考になると思い、名古屋市のホームページから手順図(各写真と同様、クリックすると拡大表示されます)を引用して貼り付けました。
 図のように千枚通しとカッターで穴を開けます。
 これができたら次は誘引剤の調合です。つくるトラップの本数分の材料をやかんに入れ、よく混ぜ合わせます。
 準備は、これで完了です。捕獲器と誘引剤が入ったやかん、ひもと挟みを持って、いよいよ緑地内に入ります。

f:id:miffy17s:20210414152044j:plain:right:w350 f:id:miffy17s:20210414152100j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210414172258j:plain:right:w350誘引剤はあらかじめ捕獲器に入れておいてもよいのですが、私たちは空の捕獲器と3本分の誘引剤が入ったやかんを手分けして持ちました。
 設置したのは①竹林広場の南側散策路脇②三角点の丘の北側③西入り口の一角―の3カ所。
 防火水槽の点検などをしながら緑地内をいつものように巡回しながら、トラップを順に仕掛けていきます。
 設置予定地に着いたら、まずやかんの中の誘引剤を捕獲器の中に注ぎ、蓋をしたら樹木に括り付けていきます。高さは地上2㍍くらいで、直射日光が当たらない所がいいようです。
 これで設置完了です。
 昨年はあまり捕獲できませんでした。それでも、緑地内でスズメバチを見かけなかったわけではなく、巡回途中で駆除スプレーを散布したこともありました。
 訪れる市民の皆さんが安心して散策できるよう、女王バチが上手く捕獲できればいいなと思います。

 参考までに、家庭の場合について名古屋市のホームページで紹介されている注意点を書き添えておきました。
 家庭では、庭木など家の周囲の樹木に吊り下げます。軒下やベランダなど、建物に近い場所ではあまり捕獲できないそうです。
 ハチの捕獲が芳しくない場合は、設置場所を替えてみましょう。誘引剤が少なくなったり、ハチの死骸が溜まってきたら新しい誘引剤と交換するといいでしょう。
 また、6月以降は、女王バチに代わって働きバチが飛んでくるようになりますから、トラップを設置したままにしておくと危険です。

【出典、参考Webサイト】
名古屋市ホームページ/ペットボトルでスズメバチトラップを作りましょう

みずみずしい若葉が感動的。可憐なヒメハギにも出会えました。北高上緑地の草木たちには今、生命力が満ち溢れています。

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 さわやかな週末を迎えました。
 10日は朝方の冷え込みが予想以上にきつかったですね。それでも青空が広がって次第に気温も上がり、気持ちが良い一日となりました。名古屋地区は明日も好天が予想され、土曜日と日曜日が両日とも良い天気に恵まれるのは何と6週間ぶりだとか。
 f:id:miffy17s:20210410131908p:plain:right:w300日進市の北高上緑地に出かけ、南入り口駐車場に車を止めると目に入ってくるのが、北側の斜面。3月31日付のブログで紹介した「山笑う」状態からさらに進み、里山がどんどん活動的になっている感じがします。ドローンにカメラを搭載し、この景色を含め、緑地を上空から俯瞰してみたいなぁと思います。どんな笑い顔が見られるのか楽しみです。
 さて、昨日9日は、そんな様子を見ようと緑地に入ったのですが、紅葉しているクスノキに心を奪われ、当初の予定が吹っ飛んでしまいました。
 そこで、今日は仕切り直しです。

 f:id:miffy17s:20210410120559j:plain:left:h380f:id:miffy17s:20210410120702j:plain:right:w380途中で心移りしないように、最初の狙いをマルバアオダモに定め、一気に「アオダモ広場」へ。白い花はピークを迎えており、遠くから見ると、枝に雪が降り積もったように、あるいは煙が立ち上がっているように見えます(写真㊧)。
     ※写真や地図は、クリックすると
        拡大表示されます。

 この花は毎年咲くとは限りません。北高上緑地のような自然界では数年に一度大豊作となり、その後しばらくは花や実が減り続ける状態を繰り返します。その大豊作が一昨年だったので、昨年に続き今年もあきらめていたのですが、見事に(?!)予想を裏切ってくれました。
 コバノミツバツツジを観賞するために訪れた市民の皆さんも、思わぬ花の出迎えを受けて喜んでくださいました。

 f:id:miffy17s:20210410125555j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210410125617j:plain:right:w350《さて、次は?》と新たな発見を求めてきょろきょろしていると、何やら紫色の塊が…。
 春先以降のヒサカキヤマザクラ、そしてマルバアオダモと、白い花が多い中で紫色と言えば、先日カメラに納めたミツバアケビかコバノミツバツツジ…。
 《ひょっとして》と思いついたのが、ヒメハギ。ヤマハギの下辺りに咲くという話を、誰かから聞いたことを思い出しました。
 ただ、あまりにも小さいので、びっくりしました。たくさん固まって咲いていなければ、気が付かないところでした。
 小さいと言えば、マキノスミレやフモトスミレ、ミツバアケビ、最近よく見かけるカクミノスノキ(ウスノキ)やサルトリイバラ、サルマメなどの花もとても小さく、写真を撮るのにかなり苦労します。それでも、山の中で小さくてかわいい花に出会うと本当にうれしくなります。

 f:id:miffy17s:20210410123319j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210410123330j:plain:right:w350次のお目当ては、クロバイです。これまでにも何回かレンズを向けましたが、日によって雰囲気、表情が変わります。
 前年に伸びた枝の葉の脇から長い花序を出し、小さな白い花を10~30輪単位で咲かせます(写真㊤)。花の直径は8㍉ほどで、突き出した多数の雄しべに隠れるよう5枚の花弁があります(写真㊨)。自生地では、葉を覆い尽くすほどの花が咲き、まるで綿を被ってもやもやっとしたように見えますが、接写するとかわいらしい花であることが分かります。

f:id:miffy17s:20210410121253j:plain:left:w370f:id:miffy17s:20210410121356j:plain:right:w370f:id:miffy17s:20210410121421j:plain:left:w370 次は趣向を変え、天を仰ぎます。透過光が通過するさわやかな葉を下からとらえてみました。紅葉を撮るときにも、このような撮影をしますが、若葉もとてもきれいですね。 
 上から順に①モンゴリナラ(フモトミズナラ)②リョウブ③ヤマコウバシ、です。
 これらの写真は説明は不要ですよね。見て、さわやかな気分を味わっていただければ十分です。
 f:id:miffy17s:20210410121332j:plain:right:h380モンゴリナラの葉は、大きくて独特な形が印象的です。上を見上げるだけでなく、すぐ目の前の大きな葉も撮ってみました(写真㊦)。
 ヤマコウバシの葉については、昨年枯れたものの、年を越して今年春に新しい葉が出てくるまで落葉しないと言われていましたので、新旧交代を見届けようと思っていたのですが、古い葉はいつの間にかすっかりなくなっていました。
 「古い枯れた葉が、新芽を守るようにしながら越冬する」という話を聞き、交代の場面をぜひ見てみたかったのですが…。来年はタイミングを失しないように注意したいと思います。

 そのほかの樹々たちの元気な様子も写真でお伝えします。

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サルマメ㊧とミヤマガマズミ
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コナラ㊧とカクミノスノキ(ウスノキ)
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ワタゲカマツカ㊧とヒイラギ
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チャノキ㊧とモチツツジ
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サワフタギ㊧とガマズミ
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タカノツメ㊧とエゴノキ
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カクレミノ㊧とズミ
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イヌザンショウ㊧とモウソウチクのタケノコ

北高上緑地でクスノキの紅葉がピークを迎えています。落葉だけでなく、なんと落枝まで…。"自己剪定"する不思議な樹、クスノキの戦略とは?!

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 今週の半ばぐらいから、北高上緑地の景色がまたがらりと変わり始めたような気がします。
 「山笑う」という話題でブログを書いたのが3月31日。あの頃は、里山を薄紫色に染めたコバノミツバツツジや、白い花と赤みがかった新葉が特徴的なヤマザクラに浮かれていましたが、あれから1週間で雰囲気がすっかり変わりました。
 これまでは枯れ木が目に付いたのですが、みずみずしいというよりも、その一歩手前の若々しくてさわやかな葉があっという間に増えて、上空の樹々の樹冠部分が何ともにぎやかになってきたことに気付きます。
 f:id:miffy17s:20210409162527p:plain:right:h350その様子をお伝えしようと思い、今日9日もカメラを担いで北高上緑地に出かけたのですが、散策しているうちに突然心変わりし、方針を急遽、変更することにしました。というのは…。

         ◇

 南入り口ゲートから緑地に入り、いつもの巡回コース通り「大崖道」から「丘の上広場」に差し掛かった時のことです。この辺りはヒサカキの群生地なので薄暗く、普段はあまりきょろきょろしないのですが、今日はなぜか上を見上げました。
 f:id:miffy17s:20210409134148j:plain:left:w350その時でした。真っ赤に燃えるような塊が目に飛び込んできたのです。クスノキの紅葉でした(写真㊧)。
 クスノキは南入り口駐車場に何本か人工的に植栽されており、それらの一部の葉がしばらく前から紅葉、落葉していることには気づいていましたが、緑地内でその光景に出会うことは予想していなかったので、少なからず驚きました。
 というより、実は「丘の上広場」脇にクスノキが1本生えていることを今まで知らなかったのです。これまで特に気に留めることもなかったのですが、紅葉しているのがたまたま目に飛び込んできたため気づいたというわけです。
 クスノキは4月に紅葉し、落葉するという程度の知識はありましたが、詳しい生態については知りませんでしたので、いつもの通り、いろいろ調べてみました。
                 ◇

f:id:miffy17s:20210409144232j:plain:left:h350 常緑樹は一年中葉を付けている樹木のことです。ですから、緑の葉をずっと付けていると思うかもしれませんが、常緑樹といえども落葉しないわけではありません。というのは、葉には寿命があるからです。
f:id:miffy17s:20210409144324j:plain:right:h350 落葉樹は一部を除き秋から冬にかけて葉を落とし、丸裸になりますから、葉の寿命は半年ちょっとです。常緑樹はそりよりも長く、クスノキの場合は原則1年のようです。
 と言っても、すべての葉が同時に落葉するわけではなく、毎年4月に新しい葉が出てくると、入れ替わるように古い葉が落ちていきます。
f:id:miffy17s:20210409171337j:plain:left:h400 その時、枝先に伸び始めた新葉、紅葉した古い葉、それに、まだ紅葉していない濃い緑色の葉が混在します。
 クスノキは、急激な強い太陽光から若葉を守るため、若葉を赤褐色にします。これは3月30日付のこのブログで紹介しました。そして、若葉は、展開すると次第に緑色になっていきます。
 古い葉が紅葉するのは、紅葉する落葉広葉樹と同じメカニズムのようです。
 添付した3枚の写真は、いずれも「丘の上広場」の一角にあるクスノキです。1枚目と2枚目の写真では紅葉があまりよく分かりませんが、3枚目の写真を見ると、信号機の色のようにカラフルなことがよく分かります。
 ただし、クスノキは暖地性の樹木なので、冬季の寒さが厳しい所では、冬にすべての葉を落としてしまうこともあるそうです。
   
f:id:miffy17s:20210409144440j:plain:right:w350f:id:miffy17s:20210409144438j:plain:left:w350 実は、あまり目立たないのですが、「丘の上広場」をさらに北へ進んだ「三角点の丘」の東、高圧送電線の鉄塔の北側に数本のクスノキが生えています。
 ここでは、張り出した枝の真下に散策路があるため、見上げれば紅葉の様子がよく見えますし(写真㊤)、葉が落葉していることにもすぐ気づきます(写真㊧)。
 もう一カ所、「こもれびの道」の途中にかなり大きなクスノキが1本あります。幹の途中に枝がなく、上の方にこんもりとした樹冠があるのですが、その樹冠の位置があまりにも高いので、注意していないと気づかずに通過してしまいます。
 このクスノキは紅葉があまり進んでおらず、落葉も落枝もほとんど見られません。

f:id:miffy17s:20210409144256j:plain:right:w350 もう一つ、面白い話があります。クスノキは、古い葉だけでなく、一部の枝を意識的に落とします。これは、「落枝」と呼ばれています(写真㊨)。
 これに関する興味深い文献を見つけました。日本植物生理学会のwebサイトです。「植物Q&A」の「クスノキの落葉、落枝」という質問と回答の中にありました。とても分かりやすく説明されているので、要約ではなく回答の一部をそのまま引用させていただきました。

枝の脱離の一番の目的は、弱った枝を落とすことにあります。クスノキはその良い例です。ある枝が生き残れるかどうかは、枝に付いている葉の光合成による稼ぎが、葉や枝の呼吸による消費を上回っているかどうかによります。植物では、赤字の枝を他の黒字の枝が助けるという事をしませんので、赤字の枝は落とされることになります。枝の脱離は赤字の枝を落とすことに働いているのです。

f:id:miffy17s:20210409144302j:plain:left:w350 その落枝を拾い集めてみました。その基部は少し膨らんで見えます(写真㊧)。これは、枝の基部に離層ができて、切り離されたことを意味しています。

 「神戸の花と木の様子」というブログの「クスノキの落枝」の中で、筆者がこんな趣旨のことを書いています。
 「クスノキ光合成が十分にできない所の枝を意識的に落とす。生きるために無駄を省く努力なのだ」
 そして、こう結んでいます。
 「クスノキはすごく大きくなる。そのクスノキも効率よく栄養をとっていくための努力を不断にしているのだ」

                ◇

f:id:miffy17s:20210331173741j:plain:right:w100 さて、いろいろ調べて、今回も多くのことを知りました。まさに《へぇ~、そうなんだぁ!》と、驚くことばかり。知らないことだらけで恥ずかしくなります。 
 駆け出し里山逍遥人こと「里山のぽんぽこりん」の勉強は、まだまだ続きます。

【出典、参考webサイト】
①庭木図鑑 植木ペディア/クスノキ
②森林・林業学習館/樟・楠
千葉県立中央博物館/クスノキ
平塚市博物館/春の落ち葉
FSC応援Project/常緑樹の落葉
⑥日本植物生理学会/植物Q&A/クスノキの落葉、落枝
⑦ECO WORKS/Dr.カーバチの虫めがね
⑧神戸の花と木の様子/クスノキの落枝
⑨植木屋じぃじ/樹木が自然と枝を落とす時

日進里山リーダー会が日進市から委託を受け、北高上緑地の散策路・広場などの巡回、維持管理作業を始めてから10周年を迎えました。

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                ◇  

 上の文と写真は、日進里山リーダー会が10年前の2011(平成23)年度に日進市から北高上緑地の維持管理業務を受託することになったことを記したブログの記事です。これは、同緑地が開園した2013(平成25)年4月1日の2年前に当たります。
 記事を書いたのは、日進里山保全リーダー養成講座(現・日進里山保全実践講座)1期生で、日進里山リーダー会創設メンバーの1人である大先輩会員。
 委託を受けた業務の内容は、散策ルートの巡回と維持管理作業。巡回業務は、週1回、緑地内の安全を確認するために行うほか、台風通過後など、必要な時に随時行うことになっています。維持管理業務は、緑地内を安全、快適に維持するため、広場や散策路の除草や除伐などを月1回程度実施するものです。
 この記事の日付は2011(平成23)年4月19日ですが、最初の散策路巡回が行われたのは第1水曜日の4月6日(水)、2回目の巡回と第1回の維持管理作業が行われたのは第2水曜日の4月13日(水)と記されています。
 今でも日進里山リーダー会はメンバーを4班に分け、年末年始を除いて巡回は班ごとに交代しながら毎週水曜日に、維持管理作業は第2水曜日を中心に月1回程度、ずっと続けています。
 そしてこの業務が今月でちょうど10周年を迎えました。
 先輩たちの努力、継続力に敬意を表したいと思います。

               ◇

 そこで、10周年を迎えた今月の最初の巡回日に当たる7日、ちょっとした遊び心から10年前の写真記録が残っているのと同じ場所を探し、仲間のメンバーと一緒に記念写真を撮ってみました。
 今日はリーダー会創設メンバーの1人も巡回に参加されたので伺ってみました。「記憶にないなー」とのことでしたので、周りの樹木や景色などを基に場所を推定しました。
f:id:miffy17s:20210326164332p:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210407130849j:plain:right:w350 まずは、ブログに掲載された最初の1枚から。崖と散策路の境に設けられた欄干の特徴などから、「南坂道」だと推定しました。
 ㊧が10年前に撮影された散策路巡回の様子です。そして㊨が今日撮影した写真です。
f:id:miffy17s:20210326164404p:plain:left:w350  次は、ブログに掲載されている2枚目の写真です。
 これも、地形や周囲の樹木の特徴などから、「南坂道」の途中に設置された防火水槽(現在は「13」と番号が振ってあります)と推定しました。
 ㊧が10年前に撮影された防火水槽の点検風景、そして㊦が今日撮影した写真です。 
f:id:miffy17s:20210407130833j:plain:right:w350 これらの写真を見て「懐かしいなー」と思われる先輩会員もいらっしゃると思います。
 10年も経っているのに、雰囲気はあまり変わっていないようです。

                ◇
 ここで、7日に行った作業を中心に、最近の巡回、維持管理作業を写真で振り返りながら、日進里山リーダー会が具体的にどのような作業をしているのかご紹介したいと思います。

f:id:miffy17s:20210407150922j:plain:left:w350 隊列をつくって緑地に入り、まずは散策路の安全確認をします(写真㊧)。
 f:id:miffy17s:20210407151231j:plain:right:w350雨で表土が流れ、木の根がむき出しになっていて、つまずいたり転倒することがあります。それを防ぐため、できる限り取り除きます。
 f:id:miffy17s:20210407130938j:plain:left:w350伸びた枝が散策路に張り出し、歩く人の顔に当たったりする恐れがあるものも切断します。
 下ばかり見ていないで必ず上も見て、落枝の恐れがないかどうかにも注意を払います。
 f:id:miffy17s:20210407131344j:plain:right:w350防火水槽のチェック(写真㊤)も大切な仕事です。水は十分溜まっているか、蓋はすぐに外すことができるかを確認します。
 木製テーブルやいすの拭き掃除(写真㊤)も欠かせません。家族連れなどが休憩して、お弁当を食べたりしますので、できる限りきれいにしています。
 f:id:miffy17s:20210407131032j:plain:left:w350今冬も雪の日が2日ほどありました。積雪は大したことはありませんでしたが、そんな雪の日も手を抜かずに掃除をします(写真㊤)。
 f:id:miffy17s:20210407153500j:plain:right:w350雨の日も、巡回は怠りません。西砂防広場がかなりの水深まで冠水したこともありますから、雨の日も要注意。
 f:id:miffy17s:20210407131250j:plain:left:h400看板や説明板、順路サインなども雑巾で汚れをぬぐいます(写真㊤)。
 散策路に落下している木の枝を処理(写真㊤)するのはもちろん、巡回途中でスズメバチを見つければ駆除もします。
 散策路上にむき出しになった木の根から樹液が出ているようなところは要注意。スズメバチを駆除したうえで、樹液が出ている木の根を取り除きます(写真㊧)。
 f:id:miffy17s:20210407131352j:plain:right:w370樹名板の新設、交換、補修(写真㊦)も仕事の一つ。ラミネートシートに穴をあけるパンチや紐、針金、挟み、木槌などの小道具も欠かせません。
 f:id:miffy17s:20210407131428j:plain:left:w350こうした小物類やコンパクトカメラ、望遠レンズを装着した一眼レフ、双眼鏡などを詰め込んだバッグを肩にかけ、腰に樹木用と竹用のこぎり、剪定鋏をぶら下げ、時には脚立まで担いで緑地内に入りますから、結構大変です。
 巡回日にチェックした事項を基に維持管理作業日に枯れた樹木を伐採したりしますが、巡回当日に処理できる場合は伐採などをすることもあります(写真㊤)。

f:id:miffy17s:20210407131336j:plain:right:w350 維持管理作業の日は、何本もの樹木の伐採(写真㊨)、草刈り(写真㊦)、竹林の整備など人手が必要な大掛かりな作業や土木工事に取り組みます。
 f:id:miffy17s:20210407132527j:plain:left:h400アップダウンがある里山の中なので車も重機も入れません。
 特に階段の補修(写真㊦)は大変。杭や踏み面の端に固定する横木に使う木材、つるはしやスコップ、掛矢(かけや=大きな木づち)などの道具は下から運び上げなければなりません。かなり重いので大変です。
f:id:miffy17s:20210407152927j:plain:right:w350 それに、こうした作業をこなす技術は昔は生活に必要でしたが、今では専門業者に依頼したりするようになったため、手仕事でこなすことができる人が少なくなっています。
 技術の伝承が課題となっているなか、巡回や維持管理作業は先輩から技術や仕事の段取りを学ぶ貴重な場となっています。 

水滴を湛えた北高上緑地のコバノミツバツツジ。雨に濡れると透けてガラス細工のようになる神秘の花「サンカヨウ」を思い出しました。

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 「また雨の日曜日か」とつぶやきながら、「 ウェザーニュース」のサイトを開きました。
 「4日からは二十四節気『「清明(せいめい)』、七十二候『玄鳥至(つばめきたる)』です」と、あります。
 「清明」は「清浄明潔(せいじょうめいけつ)」の略。「こよみ便覧」(江戸時代に書かれた暦の解説書)の清明の説明部分で登場しており、この時期は、草木をはじめとしたすべての物が活き活きとしており、清らかで美しいということを伝えているそうです。
 七十二候では、そろそろツバメが渡ってくる時期だと伝えています。

 f:id:miffy17s:20210329143606p:plain:right:w350今日は、日進市の北高上緑地で3月27日から日進里山リーダー会が開いてきた「コバノミツバツツジ観賞会」の最終日。雨空を眺めながら《どうしようかな》としばらくぐずぐずしていましたが、最終日のコバノミツバツツジをカメラに納めようと思い、緑地に出かけました。

f:id:miffy17s:20210404155716j:plain:left:w350f:id:miffy17s:20210404175710j:plain:right:w350 「観賞会最終日」なんてとんでもない、まだまだきれいに咲き誇っているのを見てびっくりしました。咲き始めが早かった「中尾根道」群落の標本木は、さすがにもう「葉ツツジ」となっていますが、「南尾根里道」の群落のツツジたちは健在(写真㊤㊨)。「南尾根十字路」のすぐ南にあり、毎年一番最後まできれいに咲くツツジは、まだ蕾がいっぱい。これからが出番の状況です。
 雨は明日5日未明まで残りそうですが、コバノミツバツツジはあと1週間ほどは楽しめそうです。

 f:id:miffy17s:20210404175950j:plain:left:h400ところで、今日一番の収穫と言えば、雨を湛えた可憐なコバノミツバツツジ(トップ写真と写真㊨)に出会ったことです。
 天気がいい日の深山や里山は、それはそれで素晴らしいのですが、雨の日も捨てがたい魅力があります。
 私は山登り歴がそろそろ半世紀になりますが、実は雨の日が嫌いではありません。土砂降りは別としても、雨の中の山歩きは、どちらかと言えば好きな部類です。 
 集中豪雨に遭遇し、普段はちょろちょろとしか水が流れていない黒部川源流が渡渉できなかったり、濁流のものすごさに怖気ずくことが何度もありましたが、花の季節にしっとりと降る雨は、なかなかいいいものです。特に、私のように撮影好きにとっては、絶好のシャッター日和となります。

f:id:miffy17s:20210404170153j:plain:right:w350f:id:miffy17s:20210404170156j:plain:left:w350 この日も、ファインダー越しに雨を湛えたコバノミツバツツジを愛でながら眺めている時、ふと「サンカヨウ」の花(写真㊨)を思い出しました。「サンカヨウ」は水(雨)に濡れると透明になる神秘の花です(写真㊧)。
 私が「サンカヨウ」に初めて出会ったのは、20年近く前。白馬の栂池自然園の中でした。白馬登山の途中で雨にたたられて途中の山小屋で宿泊。夕方、ちょっとだけ雨が途切れた瞬間に栂池自然園に飛び込み、偶然出会うことができました。
 自然園の担当者によると、「サンカヨウは咲く期間がとても短いので、なかなか見ることができない。雨に濡れて透明になったサンカヨウを見ることは、さらにとても難しい」のだそうです。雨に打たれるだけでなく、いろいろな条件が必要だそうで、私の場合、まさに奇跡的な出会いのようでした。

f:id:miffy17s:20210404182038j:plain:right:w350 その「サンカヨウ」と比べても劣らないほど、今日のコバノミツバツツジは素晴らしいと感じました。雨に濡れると透けてガラス細工のようになるのは「サンカヨウ」など、極わずかな白色の花だけのはずですが、薄紫色のコバノミツバツツジも、まさに同じような現象を見せてくれました。
 これは、感動ものだと思います。皆さんも、「雨の日は嫌だ」なんて言わずに、ぜひ北高上緑地にお出かけください。

                ◇
 ところで、「サンカヨウ」が水に濡れると透明になるメカニズムについては、はっきりとしたことは分かっていないようです。サイトを検索すると、いろいろな説が紹介されています。その中の一つで、簡潔で分かりやすいサイトを引用しておきます。フランスの田舎でのんびりと過ごしているというライター・水木誠人さんが提供している「暮らし―の(クラシーノ)」というサイトの一部で、「雨に濡れると透明になるサンカヨウとは?その理由から育て方、花言葉までご紹介!」というタイトルのページです。

サンカヨウがジワジワと濡れることで透明になる理由について、専門家でもまだそのメカニズムはわかっていません。ただ、花弁が薄く、花弁がジワジワと濡れることで水分を吸収しますが、光を吸収しないため、透明に見えるのではないかと想像できます。

たとえば、白いティッシュが水に濡れると、ティッシュが水分を吸収し、ティッシュそれ自体は透明に見えます。完全に同じではないにせよ、サンカヨウが濡れると透明になる理由はこのメカニズムに似ているのかもしれません。

ゆっくりと時間をかけて湿っていったサンカヨウの花弁は、乾燥すると元のとおり、白い花に戻ります。濡れると透明になる理由も、乾いたら白く戻る理由も、はっきりとわかりませんが、だからこそサンカヨウが貴重な花で、会いに行きたくなるともいえます。

 そのほか、「FNNプライムオンライン」の「濡れると透明になる花「サンカヨウ」が神秘的…なぜ白から変化? 2つの植物園に聞いた」(2020年5月31日)の中にも、同様に「"光の散乱"と"透過"がかかわっていると考えています」とする植物園関係者らの私見が紹介されています。
 かなり詳しく書かれていますので、興味がある方はぜひご一読ください。
 いずれも、ネットで「サンカヨウ」と検索すると、すぐにヒットするはずです。